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僕はそれでも死ねないから~死んだニートが異世界転生~  作者: 二次元好きのてーとくさん
~第一章~ 僕はなぜか異世界転生したようだ
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~第一章~ 第2話 僕はこの人生に終止符を打った

~第一章~ 僕はなぜか異世界転生したようだ の始まりだぜ!byファーク

すでに日は沈みかけていて今にも山に隠れそうになっている。そのため西の空は鮮やかな紅色に染まっていて実に綺麗だった。


南東からはさわやかな風が吹いていてなんとも心地よい。ちょうど髪もなびいた。


この感覚を味わえるのも最後になるのかと思うと・・・ほんの少しだけ悲しくも思う。


でも、これはすでに決めたことなんだ。ここでやめても後悔が残るだけ。男に二言は無い。


僕は・・・屋上に来ていた。そもそも僕にとって屋上にはいい思い出はない。


こういう夕暮れ時の屋上には、告白し合うリア充共もいるらしいが、あいにくと僕はそんなかっこいい奴じゃない。


それどころか僕はクラスメイトから虐めを受けていた。


自分言うのもなんだけど、どちらかと言ったら、賢い方だし、運動神経もいい方だし、顔もなかなかだし、特に『あるもの』を除けば、特出してダメなところはないと自負している。


これだけ言うとどこに虐められ要素があるんだよ!と言われそうな気がする。ただ、僕には少しだけ、しかし重大な欠点があった。


―生まれつきコミュニケーション能力が皆無だ―


いや、生まれつきではないのかも知れない。ただどちらにしても、性格上人と話すのに気後れしてしまい、何かと距離をとってしまう。


話している間もおどおどしてしまうし、同時にカリスマ性も皆無なので、尊敬も全然されない。それどころか威圧感がなさ過ぎて日々馬鹿にされ続けた。


ただ欠点はそれだけだった。その欠点を補うため、皆の会話についていこうと頑張ったのだが、それが逆効果だったらしい。


僕はみんなから「会話下手の変な奴」というレッテルだけでなく、「無駄に人の会話に割り込んでくるうざい奴」というレッテルまでも貼られてしまったのだ。


そのせいでただボッチだった僕はついに虐められ始めた。


僕は何もできなかった。親にも、先生にも、唯一僕の味方であってくれた人にも、誰にも相談できなかった。


もちろん一人で解決することもできなかった。


だから僕は学校、そして虐めという現実から逃げた。馬鹿にされたってかまわない。何の解決にもならなくたって構わない。ただひたすらに逃げ・・・僕がたどり着いたのは二次元だった。


僕は引きニートと化した。もう外には出たくなかった。だって外には怖いものがいっぱいあるのだから。


そして中学生時代の後半をずっと家で過ごしてきたのだが・・・何とか底辺高校に受かり、ついに高校生になった初日、こう言われて親に無理やり学校に行かされた。


「高校生になったんだから環境も変わったでしょ?きっといじめられないわ。ずっと家にいても変わらないんだから高校に行きなさい」


ある意味正論だろう。でも、それは同時に非常に無責任でもあった。親は学校のことを何も知らない。


それから渋々学校に入ったのだが、そこでの待遇は思ったとおりだった。


また虐められた。


今度は何とか親にそのことを打ち明けられ、またニート生活を再開しようとした。でもそれは親に全力で止められてしまった。


毎日虐められているうちに、さらにこの世界が怖くなった。そして嫌いになった。


毎日虐められるために学校に行き、ただいやな思いをして帰ってくる。


親のせいで自分で決めたことすらも実行できず、僕はただやられるだけ。


この世界は何かにとりつかれているようだった。学校や会社に行くのは絶対であり、その生活は虐めでのストレス発散と結束力により何とか成り立ち、ただ上の言うことを聞くしかない。


虐められる側にしてみればただ貧乏くじを引き続けるだけだった。もうそんな生活嫌だった。これから生きていくのが怖かった。


だから・・・僕は自殺することを決心したのだ。


僕がこの屋上が嫌いなのは虐められる時よく使われたからだ。ここで僕は何度も殴られ、金を巻き上げられ・・・それはもう酷いことをされ続けた。


何かと色々設置してあり、見通しの悪い屋上は虐めるのに絶好の場所だった。


そんな場所だから僕は嫌いだったが、この目の前に広がる夕暮れの街並みを見ると、「屋上にいる」という嫌な気持ちも消え失せた。


本当に綺麗だった。これから僕はこの美しい景色に飛び込み、この命を燃やしきるのかと思えば、死ぬのも本望だと思えてくる。


僕は改めて決意を抱き、転落防止のための鉄格子に足をかけた。


今更ながらに緊張してきた。誰だって・・・死ぬときは本能的に嫌悪感を抱くだろう。もっとアニメを見たかった。ゲームしたかった・・・そんな気持ちがないと言われれば嘘になる。


でも、死ぬ方がマシだ。それほどまでに僕の精神は壊されていた。


手をかけ、いよいよ落ちようとしたとき、僕の後ろにある階段とつながっている扉が開かれ、僕の唯一の親友が出てきた。こいつとは幼馴染である。


彼はこれから僕がしようとしていることを察したのか、強く言ってきた。


「死んだって何にもならないよ。死んだら全部終わる。でも生きてたら何か起死回生があるかもしれない。だから死なないでよ、健ちゃん!」


生きてたらどうなるかなんてただの希望的観測に過ぎない。何もできず、一生どこでも虐められ続ける人もたくさんいる。


それに、死んだら何にもならないって言うのなら、生きていたって何にもならないことだってあるではないか。それを世間は何も分かっていない。


だから何を言われようと、僕はもうこの考えを改めるつもりはない。


「これはもう決めたことなんだ。僕は生きていたって何にもならないって思ったんだよ。こんな人生、死んだ方がマシだよ」


そう言いながら、手に力を込め、押し出し、柵を飛び越えた。するとついに僕は、屋上から落ちていた。


「あぁ!健ちゃん待って!何とかしないと・・・ダメだ、間に合わない。」


戯け一般人。君たちはただこのつまらない現世を適当に生きとけばいいさ。


まぁそんな声はどうでもいい。それよりこの風を切る感覚がとても心地よかった。


最後に唯一この人生でいい思いができたな。


そんなことを思っていると、あろうことか気を失い始めた。


「そういえばこんなことになるんだっけか?」


せっかくの人生最後の瞬間を身に染めたいところだったのだが、残念だ。


そこで僕は気を失った。


しかし落ちた瞬間は何かグシャッって音を立てたのが聞こえ、強烈な痛みが襲った後、謎のこの上ない快楽を味わえたから、死んだことは確実だろう。


そう、僕はついに念願の自殺を果たしたのだった。




 ― 僕の天才的な思考力を振り絞った結果、やはり僕は自殺したようだ。


だとしたら・・・なんでなんでなんで!


「僕はここに存在できているんだぁ⁉」


おっと、間違えて声に出してしまったため周りの視線が痛いです。

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