~prologue~ 第1話 僕の視界には見知らぬ街
プロローグ の始まりか。by健斗
気が付くと僕、佐々木健斗は暗闇の中にいた。・・・・・・いや、ただ瞼を閉じているだけだ。
なぜ閉じているのだろうか。僕は寝ていたのだろうか。と、いう事は朝なのか?
そんなことを思いながら僕は瞼を開ける。するとそこには、現代の都市とは思えない町並みが広がっていた。
建物などの構造や行きかう人々の服装から、近世から近代ぐらいの文明だと察することができる。それにしても町というものはどこでもうるさいものだ。話し声や騒音が耳に入ってきてしまうではないか。
いや、そんなことはどうでもいい。まずはここがどこなのか把握しなければいけない。
日本にここまで文明が発達していないところと言ったら相当な田舎だ。ただそれにしては無駄に人が行き来している。
というか本来僕がいる場所というのは僕が歩いてきた場所なのだから、ここがどこかある程度分かるはずである。
それなのに僕はこの場所を全く知らなかった。向こうに見える塔らしき建物、さらにその向こうに見える山、そしてもちろん僕の後ろにある謎の店も、全部知らん。この店、武器売ってますとかあるけど法律上大丈夫なのかよ・・・。
そんな心配は置いといてこの状態は割と深刻である。こりゃ確実に僕は・・・・・・
「迷子になってしまった」
と、言葉にまで出てしまった。
や、やってしまった。迷子なんぞはもう10年はしてこなかったが、昔、迷子になった日はマジで泣きじゃくった。
そもそも僕は涙腺がもろい方だ。こういうことに限らず映画とかアニメでもすぐ泣いてしまう。
今回も実はちょっと涙が出てきそうでやばい。というか17歳にもなって迷子になってる方がやばいぞ、とか傍から見たら思われそうだ。
だがそもそも僕自身迷子と表現したが、よく考えたらちょっと語弊があったりもする。
本来迷子というものは無計画に道を突っ切って、行き着いた先で「どこだかわからないよ~」と、なる行為のことである。
しかし僕はそこまで馬鹿じゃないから、そんなことはしていない。
高校生が迷子とか(笑)という誤解は解けそうだが、その代わり状況は深刻である。
なにせここにどう来たかも全く記憶がない。
まず家はどこだ?早く帰ってゲームしたい。インターネット内を徘徊したい。アニメだって見たい。引きニートの僕にとって家がないのは最悪の状態である。
あっ、ニート生活はつい先月新学年の始まり、という事でやめろと親に言われたんだっけか。
とにかくどの道を通ってきたかもわからないから来た道を戻る、的なこともできないわけだ。
待てよ。そもそも僕はここに来る前何をしていた?少なくとも道は歩いてきていないはずだ。
思い出せ僕、この状況の打開策につながるかもしれない。少なくとも知力に関しては人並み以上にあるはず・・・。
そこで僕はすべてを思い出して「しまった」。しかしそれが本当なら本来僕は存在できないはず。なのになぜ存在できているんだ?あり得ない、あり得ないぞ、こんなこと。なにせ・・・
『僕は自殺したのだから』
プロローグの終わりだぜ!byファーク