表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の錬金魔法使い  作者: 松本優
第一章 異世界、いざ冒険へ
2/2

第一話 「王宮での一時」

食事を終えた俺は、王様かま用意した来客室で休むことになった。ズボンに隠した剣は背中を見せない事でばれずにすんだ。着ていたズボンは破けたので部屋にあったズボンを着る事にした。とりあえず、持ち物を一旦整理した。持っていたのは自転車の鍵、鍵についている鈴と彼女とペアルックで買ったヌイグルミだけだった。そんなこんな考え事をしていると、


コンコン…


ドアをノックした音だ。念のため剣は服の裏に隠す。


「入っていいですよ」


ドアが開くとさっきの大部屋にいた少女がいた。


「あの……お父さまがお呼びです!」


「1個質問…あんたはこの国の姫様なのか?」


あらためて見ると日本人とは思えない金色の髪が肩までかかっていて、毛先がくるんとなっている。体つきも綺麗で、目も大きく愛らしい顔立ちだ。


「は…はい!私はハザール王国王女のシーア・イブン・アブドゥルマリクと申します。」


「そんな姫様がこんな所に1人で来て大丈夫なのか?」


「…私はあなたを信用してますので。グレゴリーは警戒するようにとおっしゃってましたが」


「そのグレゴリーって人は分からんが…これからは1人で行動するのはよした方がいいぞ」


「はい…分かりました…今度から気を付けます。では謁見の間までご案内致しますね。」


姫様の案内で謁見の間まで向かう事になった。途中、食堂の事を思い出していた。異世界であるので食べ物が大きく異なる可能性も考えていた。しかし、サラダやパンといった、日本でもよく見られる物ばかりだったので安心した。そんな事を考えていると、シーアが歩みを止め、


「その……す、すみませんでした!」


「は…い…いや何がだ?」


「こちらの勝手な都合で、あなたを召喚してしまった事です」


「…別に気にしてない。せっかくの異世界だ男として冒険したいしな」


「…それでも…」


「二度と言わせるな…気にしてなくていい。そんなに気にしてるなら僕に協力してくれると助かるが」


「私に出来る事ならなんでもします!」


「…その時なったら頼む…もう謝らなくていいから案内を続けてくれ」


それから僕達は謁見の間へと向かった。


※※※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


謁見の間の扉が開くと扉を開くと、上品な花の香りが漂う。床には絨毯が敷かれており、その先に待ち構えるように4人の護衛と王様がいた。兵士3人と紳士服のようなものを着ている奴がいた。


「コウタ・ワカバよ、こちらに来い」


僕は王様の元へと向かった。王様から30メートルほどの所で執事服の男に止められた。


「ではまずはこやつらの紹介からしようと思う。」


王様がそう言うと執事服の男から話し出した。


「私の名はロルフ・グレゴリーと申します。この国の軍隊の副団長兼執事でございます」


背は僕より高く、完全に白く染まった頭髪だが年齢は僕とそれほどかわらないだろう。黒の正装はいかにも執事だというのが感じられる。


「俺の名はハーリド・アルカスリー。第2分隊長だ」


緑色の短髪で顔立ちはなかなかのイケメンである。歳はグレゴリーさんと変わらないぐらいだ。



「あんちゃんはさっき会ったな。俺はケイン・ザイド。一応、第3分隊長をやってる」


金髪の厳つい顔立ちの中年でいかにも酒が好きそうな男だ。顔もいかにもおっさんっぽい。


「最後は俺、シオメン・ウラディーミル。第1分隊長だ。よろしく頼む」


長身の青年で僕より十センチばかり高く髪は青みのかかった紫で丁寧にセットされている。顔もなかなか色男だった。


「ああ、よろしく頼む」


「ふん、得体の知れぬ者なんぞの世話をするのもいい加減飽きてきたのだがな」


「別に同じ出身と僕は関係のない事だろう。勝手に比較するな」


「成る程、その口振りが正しいかどうか証明してみろ」


そう言うと右手で剣を抜き、目で見えないほどの速度で向かってきた。三人の兵士と王様は驚いていたが僕はある程度予測出来ていた。


そして、ズボンから剣を抜きその一撃を受け切った。


「…てめえ、何でだよ」


「まさか私の攻撃を受け切るなんて…私は寸止めするつもりでしたのに」


「それ以前に手加減してただろお前」


そう、こいつは手加減してこの速さなのだ。正直、現実世界なら防ぐ事もできなかったかもしれない。この世界に来て反射神経と動体視力が上がったのかもしれない。


「鋭い目をお持ちで…どうやら口だけでない事は理解しました。その剣はあなたに差し上げます。いいですよね、ケイン?」


「まじかよ副隊長…つうかあんちゃんいつ盗んだんだよ…」


「僕を案内してた時だ。あんときは拾ってくれてありがとうな」


「…あんちゃんが言うと嫌味に聞こえねえな…」


王さまがまあまあとなだめて、


「お主の実力は分かった。だが、ここに来たばなりではこの国での戦いの術がわからんだろう。王宮で2週間ほど学ぶといい」


(つまり、2週間以内にここを出なければいけないな…この国の勇者として旅に立つのは目立つからやりたくないしな)


「剣術はグレゴリーが、そして魔法はここにはおらんが、マリーという賢者から学ぶといい」


「仮にも副団長が僕に付きっきりでいいのか?」


「仮にも『英雄様』ですから半端者に預けるわけにはいかないでしょう。実力も把握した事ですしね」


「…なるほどな。ちなみに身分証みたいのはこの世界にはあるのか?」


「身分証とはどういった物でしょう?」


(なんて説明すればいいのやら…)


「もしかしてギルドカードの事ではないでしょうか?」


その声はシーアの声だった。ギルドカード…つまりギルドがこの世界にはあるという事だろうか。


「それに似た奴だ。住民の証のようなやつだ」


「ああ、ザクスカードのことでございますね」


(知らない単語だが、ここは乗っておこう)


「多分それです…この世界に住む上で必用になると思うので」


「分かりました。明日には作りましょう」


「それともう一つお願いがあるのですが」


「こちらも身勝手にあなたを召喚した身ですお願いの1つ2つかなえてあげましょう」


「じゃ僕をここで雇ってくれ」


ここにいた皆が唖然とした顔を浮かべていたが、やがてケインが口を開いた。


「つまりあんちゃんは王宮で働きたいって事なんだな?」


「ああ。掃除、炊事、武器の手入れぐらいなら完璧にこなせる自信がある」


「それはありがたいですね…正直人手が足りないと感じていたので」


「ちなみにあんちゃんは給金とかはどうしたいんだ?」


「その日の働きに応じてで構わない。できれば無一文だから日払いがいいな」


「分かった…お前を雇おう。だが、もう日も傾いておる。明日から働くといい」


それから僕は来客部屋へと戻った。


※※※※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「最低でも5日…いや1週間ぐらいはここで働いておくべきだな」


来客室の豪華なベッドに転がって考え込んでいた。


(しかし、異世界か…これからどんな冒険が待っているのだろうな)


ゲームのような世界はコウタの心を高陽させていた。まさか体験できるとは夢にも思っていなかった。頬をつねってみたがやはり目が覚める事は無かった。


ギルドもこの世界にはあるだろうし、やはり自由に行動したいというのが願望だ。


(とにかく明日の朝から仕事があるらしいから早く寝るべきだな)


光を消し、やがて就寝に入った。

次回でやっと魔法が出てきます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ