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トラストルノ  作者: なさぎしょう
序章
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戦闘訓練 アレイvsロブ


「取った‼︎」


はじめの合図と同時に距離を詰め、ロブの首元に手をかける。そのまま右手で相手の腕を抑えつつ、左腕を深く首にかけ、全体重をかけて屈む。

が、ロブの右手がアレイの腰元を捉える。アレイはそのまま真横の壁まですっ飛んだ。

2人は基本、素手の力技で挑むことが多い。

だが、その力技も武器を持って油断している相手ならともかく、互いに素手同士だと油断や隙がなかなか出来ず、勝負が長引く。


ロブは体制を低くしたまま(うずくま)るアレイに駆け寄り、拳を叩き込む。が、寸でのところでアレイが上に跳躍し、踵をロブの顎に蹴り入れた。


「あっぶねぇ…」


ロブの一撃をもろに受ければ病院行きは免れない。手加減なんてされたら癪に触るが、あんなに本気の一撃を繰り出されるとは思っていなかった。

手袋についた遅乾性のペンキが、互いの身体のあちこちに手形を残す。

それでもセンサーは2人を"戦闘不能"とは見なさない。

2人もここで終わりだなんて言わない。


「もらった‼︎」


アレイの声が聞こえる度に、アレイの側のHIT数が上がっていく。…が同じだけロブの方も上がっていく。

アレイが突っ込む度にロブが的確に反撃していくのでHIT数もなかなか開かないのだ。アレイの方も、さっきからもう10回以上は壁に叩きつけられているのに、綺麗に受け身をとるので動けなくなるようなこともない。


「なにおぅ‼︎」


アレイがまたも首元に手をかけようと、素早く至近距離に潜り込む。

…と、目の前からロブが消えた。


ロブの方は先程までの、とりあえず一手受けてから、のスタンスをやめ、しゃがんでアレイの攻撃をかわす。そしてそのまま脚を払い、倒れてきたアレイの首元にそのまま腕を入れ込むと、アレイが息を詰まらせる。


「かはっ…げほっげほ…」


アレイは噎せながら憎らしげに、自分を組み敷くロブを睨みあげた。





やっぱりロブに敵わない。


ロブだって別段筋骨隆々なわけではないし…毎年年初めの集会の時なんて細身のスーツを着こなすような男だぞ?なんで勝てない…技術だろうか?





アレイは飲み込みが早い。おまけに記憶力もいいから、こっちは常に新しい技を取得して、様々に織り交ぜつつ、タイミングを計る必要がある。

自分があらゆる本や人から聞いて、必死に身体に覚えこませてきたものをいとも容易く真似て、使い(こな)されるのは、悔しさ半分、羨ましさ半分、といったところか。

もしかしたら今年、最後の年にして始めてアレイに負けるかもしれない…



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