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トラストルノ  作者: なさぎしょう
輪舞曲
84/296

SOUP本部 死神達と化物達2


首か胴か…

躊躇っている間にシンクが撃たれては元も子もないのだが、その少年があまりにも…自分の思い出の中の人に似ていて、斬る事ができなかった。

結局、クルリと刃を返して左手を腕から断ち斬る。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


少年は一瞬の困惑の後、叫びそして背を丸めうずまる。

シンクは顔をしかめ、本心ではないのだろうが、思い切り少年を蹴飛ばすと右手奥で何故か薄煙にまかれて、いるのであろうケイトの方へ駆けていく。


「助かった。」


すれ違いざまに呟かれたシンクの声は、スッと夜闇に消えてゆく。



さて、先程の…私に酷似した(・・・・・・)少女はそろそろやって来るだろうか。

彼女と、そして手を無くして尚、ある種の冷静さを取り戻し戦わんとする少年の対処は、私がすべきなのだろう。

ジェスターは、少女を迎え撃つべく少年の側に立ちぐるりと辺りを見回した。





薄煙の向こう側がぼんやり見え、そして驚愕した。

シンクが…よりによって頭も体力もあるシンクが、すでに片腕の使えない少年如きに組み敷かれるなんて…‼︎

しかもあろうことか銃口まで向けられている。

あの少年は…化物だ。

そうに違いない。


シンクを助ける手立ても浮かばず、ただただ「ジェスター来い‼︎」と他人任せに思いながら見ているしかない。

その時だった。



「うわぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」


煙でよく見えないが、少年に何かあったらしい。

少年の(かたわら)背景の夜空に溶け込むように、待ち人(ジェスター)が立っていた。容赦なく、しかし手首であったことは優しさだろうか、スパッと断ち斬ってしまった。


「う…うそ……」


ケイトを押さえつけている少年も、驚きに声を漏らす。

手先の無くなった少年を申し訳なさそうに蹴りおろすと、シンクがくるりと方向転換をしてこちらに向かってくる。助かった…‼︎と思っていると、少年がパッと手を離し、耳元を押さえた。何らかの指示か、あるいはまたも先程と同じ手か…

シンクもそれを警戒してか首を竦めるようにして、フードや衣服で少しでも音を遮断しようとする。

ケイトも耳を塞ごうとするが、直前に少年の声が聞こえた。


「了解‼︎僕が向かう。」


なんだよ‼︎今度はインカムからの指示か⁉︎

シンクの盛大な舌打ちも聞こえてくる。少年はそのまま出口に立ち去りがてら、ケイトとシンクを振り返り…頬を膨らませニマッとしながら口元を手で隠すようにした。完全に小馬鹿にしている。


「クソガキ‼︎」


ケイトとシンクは小柄な少年の態度にムカッとしつつも、立ち上がり後を追おうとする。

少年がどこに向かうのかはさておき、2人はコード室に向かうべく出入り口に近づく…



が、ここで小柄な少年が残していった仕掛け罠が多分(たぶん)に防壁として効力を発揮してきた。


「っんとにクソガキが‼︎」


少年と違いこちらは成人の背丈もある男2人…さて、どう通ってみせよう。


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