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トラストルノ  作者: なさぎしょう
序章
8/296

戦闘訓練


生徒から人気の授業といえば戦闘教育だろう。

身体は動かせるし、なによりトラストルノで生きていくのに1番役立つ。なにせ"死なない"ということがここでは難しいのだから。


「今日はどう組む?」


Sクラスの面々もこの授業は嫌いじゃない。彼等はSOUPに入れば1人一人に用心棒がつくだろうから、他の生徒ほど必要性に迫られてはいないが、四年前の事件もある…結局自分の身を最後に守れるのは自分だ。

授業のはじめ30分は1対1、中後半は日に寄るが、今日は60分丸々使ってチーム戦。


「とりあえず舞人と名影が組めよ。他の奴じゃお前ら化け物の相手は出来ねぇし。」


「えぇ、そんな強くないよー。ちょっと闘い方を工夫してるだけ‼︎」


伏が「照れるな〜」なんて呑気に言う。

しかし伏の闘い方はちょっとどころか、相当独特なものだし、あの実力で"そんな強くない"なんて言われたら堪ったもんじゃない。


「あとはくじで決めるか?」


芦屋がテキパキと仕切っていく。

くじで決める組の目玉は、"誰がナギと組むか"だ。みんなナギについて知らないことが多すぎる。せめてその素顔と、それから…

性別が知りたい。

だから訓練のどさくさに紛れて、常備のマスクをとってやろうというわけだ。本当は闘っている最中に前髪の隙間から目元だけでも見れればいいのだが…ナギも相当腕が立つ。そんなチラチラ見える程度では全く顔の造作がわからないうえにじっと見ている暇も隙もない。


「ほら、決めるならちゃっちゃとくじ引いて決めちゃいなさいな。」


Sクラス副担任の神代(かみしろ)輪廻(りんね)が普段使う手作りの簡易くじを封筒ごと持って引かせる。戦闘訓練はPEPE専属の教員であれば(・・・)全員が教えることが出来るため、基本的にはクラスの担任もしくは副担任が受け持っている。

神代の普段の持ち講義は医学と薬学だ。見る人全てが息を呑むような美人だが、どことなく冷たい印象を受ける。作り物のように見えるのだ。


「決まったー⁇OK⁇じゃ一組ずつ部屋(ケース)の中に入って‼︎」


東校(イーストヤード)は巨大カンパニー"紅楼(こうろう)"からの出資でバカでかい訓練施設を5つも持っている。

その一つ、箱棟(ケースヤード)には30畳ほどのガラス張りの部屋が100部屋以上あり、1対1などの少人数戦闘訓練に最適だ。


全員がそれぞれ横一列に5つの部屋に分かれ、入ると同時に部屋の電気が点き、ガラス張りの壁にそれぞれの名前と顔写真、そして"HIT 0"の文字が浮かび上がる。

部屋の外からは全ての部屋がガラス張りの筒抜け、に見えるが、中にいる人間からは隣が見えないようになっている。

勝敗がつき次第、隣が見えるようになる仕組みだ。


「それぞれ武器(えもの)は持った?」


全員が小型のヘッドセットを片耳に付け、聞こえている、と手を挙げる。


それぞれの持つ武器(えもの)はもちろん本物ではない。ペイント弾入りの銃、遅乾性のインクが塗られたナイフや、その他諸々…インクは全て赤い。

部屋の四隅にあるカメラセンサーが色のついている量や位置から"戦闘不能"と判断するか、自己申告でどちらかが"戦闘不能"を訴えたらそこで勝負は終了となる。


「それじゃ始めるわよ。」


それぞれ相手を見据える。


「用意…






はじめ‼︎」



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