SOUP本部 SideS 準備
日が沈むまであとわずか。
「手入れは抜かりなくしてあるか?」
「もちろんさ‼︎」
シンクの問いかけに、ケイトは嬉々として答える。ケイトは共用の武器室からライフル一丁と、ショットガンを二丁持ってきて、リビングでバッグに詰めている。
シンクも銃火器の整備不良などがないか、ナイフ等の不備はないか最終確認をし終える。
「服はいつものやつだろう?」
「あぁ」
2人分の着替えを自室から持ってくると、ケイトに投げ渡す。
ケイトは着替えの時がいつも少し憂鬱だった。1番初めに、黒のぴったりしたハイネックのウェアを着るのだが…それがとにかく身体のラインや体格がよく出る。
シンクもケイトも、スーツや一般的な服を着ている時は細身で大差がないように見えるのに、このウェアを着ると、体格差を思い知らされる。
「相変わらずすごい筋肉だよ…どうやったらそんな締ったからだになるのさ…」
悔しいがシンクに比べたらケイトなどペラペラ。黒いウェアのせいで余計に細く見える。
「馬鹿みたいなこと言ってねぇで早く着がえろよ。」
馬鹿なことって……
次に暗めの配色の迷彩服。軍服のように見えるが、はるかに薄く軽い。
その上から黒のフィールドジャケットを羽織り首元まで閉める。このフィールドジャケットも本来ならばありえないことに深めのフードがついている。
さらに薄手のネックバンドを着て、それを口元が隠れるようにする。
これでフードを被ればほとんど顔が見えない。
「おい、髪結わいてやるからこい。」
ケイトは髪が伸びるのが早い。さらに特徴的な白髪である。
結わいておかねばフードの隙間などから髪が見えて、標的にされるのだ。
「いつも丁寧にありがとう。」
シンクは見た目の割にーーというと怒るので本人には言わないがーーかなり器用である。ケイトの髪をうまく2つに結ぶ。幼い女の子のような髪型に初めは2人で吹き出してしまったが、今ではむしろこれが通常。見慣れてしまった。
この建物は11階建ての44部屋。トラストルノではまま見かけるタイプのアパートだが、ケイト達のいるアパートには44部屋中40部屋空いている。
当然セキュリティもくそもない。しかも出入り口は裏通りに面している。
ジェスターの住むマンションとは雲泥の差だ。それでもトラストルノの中では恵まれている方だが。
ケイトもシンクも普段隠れ蓑としている職業の都合上住所は固定しておかねばならず、転々と引っ越す訳にもいかない。そこでこのひっそりとしたアパートを選んだ。
ここなら着替えをすました状態のままで外へ出ても、すぐ近くの地下道まで誰にも見られずに済む。多少古く、屋台通りも遠いため買い物などには不便だが、2人からすれば良物件であった。
しかも空き部屋だらけだったために、11階を自分たち用に。そして2階の2つの部屋をケイトとシンクのそれぞれの仕事用として借りている。
しかも毎月の支払いは、2人で1日大家のおばあちゃんと過ごすだけ。買い物を手伝って、話を聞いて…しかも茶菓子を出されるため、こんな支払いでいいのかと2人ははじめ、戸惑っていた。
「しっかりバッグも締めて、ホルダーもこの間みたいに途中で取れないようにしておけよ。」
シンクは自分の支度と並行して、ケイトの方も見てやる。準備は比較的順調に進んでいく。
「作戦の見直しはジェスターと落ち合ってから?」
「あぁ」
「じゃあ呑気にしてらんないね。」
「いつだって呑気になんてしてらんねぇだろ…」
準備は着々と進んでいく。




