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トラストルノ  作者: なさぎしょう
輪舞曲
51/296

リスト3


いくらか酒の食事の入ったところで、シンクが本題を切り出す。


「で、リストの件だが…とりあえず今日は下見だ。本当は一発で済ませるのがベストだが、SOUPの詳細な内部地図は手に入らないし、リストの在処(ありか)に検討もつけられないしまつでな…」


「いいさ‼︎スリルが2倍に増えるということだろう?問題ないよ。」


ため息まじりのシンクを励まそうとしたのかもしれないが、ケイトが少し見当違いな発言をする。


「それに、運よく一発目で手に入っちゃうかもしれないしね。」


「いやお前、無理をするなよ。」


それからシンクは紙の地図を取り出す。


「これは簡易なSOUPの見取図だ。ただ簡易すぎてとてもじゃないが役に立たないだろうと推測される。」


「たしかに、構造が単純すぎるわね。」


ケイトとジェスターは紙の冊子地図を捲りながら、"役に立たなそう"感をひしひしと感じていた。まぁしかし無いよりマシかもしれない。


「じゃあ、今回の主だった目的としては地図作りかな?」


「あぁ、まぁそうなるな。」


SOUPの詳細な地図を作ったとなると、もはやその地図だけで相当な値打ちがある。


「入り込めそうな所はおおかた見当をつけているが、これがどれほど使えるかは定かで無い。」


「ねぇ、あんまり聞かないほうが良いと思ったから聞かなかったんだけど…SOUP内にも内通者がいるの?」


「あぁ、一応な。」


まぁシンクが人選にミスするとは考えにくいし、内側からの情報はあるに越したことがないが、関わる人間が増えるということは、その分統率も難しくなる。


「大丈夫だよ‼︎最悪向こうが拷問とか受けて話しちゃったとしても、全部でたらめだから。」


「そう…」




「入るとしたら正面の一般ゲートからだな。このゲートが繋がってるP棟は玄関口のようなもんで、清掃員だとか一般の利用者なんかもいる。そこに紛れ込んで内部にまずはとにかく入る。」


P棟は比較的外にも開かれた部分だ。

SOUPはまるでそのP棟の空間だけが自分たちの持っている全てのように振舞ってはいるが、その実持ち合いの敷地はその数十倍。あのPEPEですら狭く感じるほど広大な土地を有しているらしい。

奥にもS棟、O棟があり、さらにそことは何故か1つだけ離されたどこか(・・・)に研究の類を一手に引き受けるU棟があるとか。

しかしどれも噂であてにならない。

やはり自分の目で見、手で触れなければ確信は持てない。


「入ってからは三手に分かれる…本当は離れない方が良いんだろうが仕方がない。」


「他の連中より先に3人で見つけたいしね‼︎」


「それぞれの棟ごとに分かれるってこと?」


「いや、それはさすがにリスキーだ。棟間の移動は3人一緒が良いと思う。」


「了解。じゃあ階数(フロア)ごとに分かれるのでいい?」


「あぁ…問題は階数が定かでないことだ。」


簡易地図を見る限りでは全ての棟が上6階に地下3階になっているが、とてもそんなものとは思えない。

そもそも…


「地下の3階に奇妙な階段マークがあるよね。さらに下がある可能性が高いかな?」


「こっちの棟は上ももっとありそうよね。だって見て、このエレベーターマーク、なんで6階にしか止まらない、というか動きもしないエレベーターなんてあるの?」


そもそもこんな地図があったら階数(フロア)はこれだけではないですよ。と教えているようなものだが…なにか違和感がある。


「罠の可能性もあるからな…本当は、全員で行動するのがベストなんだ…」


シンクは自分で計画を立てておきながら、分かれるという方法に納得がいかないようだった。


「それじゃあとりあえず地上階を2人で、地下階を私が見て回るっていうのでどう?」


「そんなのジェスターが危ないじゃないか‼︎」


「それなら全員で回れば良い話だろう。」


この2人は…人が良すぎる気がする。特にことジェスターに対しては。


「でもゆっくりしていたら、それはそれで危ないでしょう?大丈夫なんて簡単には言えないけれど、私がバレて捕まった時はあなたたちも捕まる時よ。」


「えぇ………」


ケイトは不満そうだったが、シンクは渋々その案をのむ。

かくして作戦会議はお開き。

日が沈む頃にいつものところで落ち合おう、と確認し合うとケイトとシンクは家へ。ジェスターは少し気分転換がてら寄り道、とレストランのすぐ近くにある無法地帯(はんかがい)ウォールストリートへ。



まずは今夜。しくじりのないように行きたい。


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