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トラストルノ  作者: なさぎしょう
序章
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特別な生徒 4


今日も今日とて、次席のせいで2列目の真ん中…つまり実質1番前のど真ん中に座ることになってしまった。


「アレイがいれば講師共もぜーんぶアレイに話振るだろ⁇俺は極力話しかけられたくないんだよ。な?」


俺だって話しかけられたくない。

先生達に好かれるのは悪い気はしない…がそれとこれは別だ。4つ上の次席は背も高いし、顔だって整っていて頭もいい。文句なしの眉目秀麗、才色兼備というやつだ…と2年前、Sクラスに入るまでは思っていた。憧れてさえいた。

しかし入って2年一緒にいて知った。次席の芦屋聖(あしやせい)は自他共に認める"マイペースわがまま野郎"だった。


「彼女?めんどくさいから作んない。」

「他のクラスとの親交?めんどくさいから名影に任せた。」


アレもこれも「めんどくさい」だの「自分は別のがいい」だのとマイペースを崩さない。

今日だって…本当はシヨンの隣に座る予定だったのだ。それなのに…

シヨンの隣は大概、(ふせ)真城(ましろ)だ。

羨ましい…


昨年からほぼ何も変わらずに新しい学年を迎えて、同じように講義を始めたために、今日が新学期一発目の講義と思えない。

東校(イーストヤード)は、他4校と違い4月から学校が始まる。春の陽気で眠くなってきた。

コクリ、コクリと船をこぐたびに後ろの恩が、背中をぽんぽんと軽く叩いて起こしてくれる。恩だけが俺の気持ちを分かってくれる。恩も俺と同じくよく講師から指されるくちだ。まぁ恩の場合は頭もいいし、そこまで指されることを嫌がっていないようだが。

アレイ・ディモンドだってSクラスに入るくらいの頭は持っている。ただギリギリだった。それでも常人から考えたらとんでもない頭の持ち主なのだが、いかんせん抜けてる。それから煩い。

自分でもそこがダメなところだと分かってはいるのだが、性格とはなかなか治せないもので、ここまでズルズルきてしまった。


「もうじき講義終わるよ、頑張れ」


後ろから恩が励ましてくれる。しかしその恩の少し低めの声が心地よく聞こえて、余計に瞼が重い。

不思議だ…こんなに眠くて眠くて仕方がないのに、講義が終わった途端に眠気は嘘のようになくなり、むしろスッキリするのだから。眠気とはおそろしい…





またアレイが寝そうになっている。彼はこのクラスでは珍しく"年相応"な少年だと思う。まぁ相応、というのもあくまで自分の主観なのだが"14歳もしくは10代といえばこんな感じ"というのを具現化している。

ロバート・キングはティト・コルチコフと並ぶクラスの最年長、今年で20歳になる。ティトは誕生日が4月9日でもう成人している。ロブも今年の10月で成人だ。

来年の今頃はSOUPで働いていることだろう、と思うと少し寂しくもある。

12歳の時から8年もSクラスにいた。ちょうど半分ずつ毛色の違うクラスを体験した。4年前に事件が起きて、首席が名影に変わったからだ。良くも悪くも、組織とはトップの影響で色を変えやすい。それは学校社会におけるクラスだって同じことだ。

でもロブはどちらも好きだった。

同い年の首席はライバルとしても、親友としても申し分なかったし、2つ年下の現首席は正直尊敬と畏怖の念すら抱いている。

名影零(なかげれい)芦屋聖(あしやせい)。いままでで最も優れた首席と次席ではないだろうか、とさえ思える。

いや…しかし、決して先代が劣っていた訳ではない。彼等も素晴らしかった。殺されさえしなければ(・・・・・・・・・・)

芦屋類(あしやるい)恩紅凛(おんこうり)

彼等もまた自分にとって尊敬すべき首席と次席だ。


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