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トラストルノ  作者: なさぎしょう
合戦場
284/296

戦場組


とにもかくにもひとまず、もう1人を探さなくてはならない……


名影と真城はPEPEに戻ると、まっすぐに寮へ向かった。

正直、"探す"とか"考える"という選択肢はほぼ無きに等しく、軍属として戦地に赴けるようなバックグラウンドの人間はPEPE(ぺぺ)東校(イースト)Sクラスに1人しかいなかった。





コンコンコン……


「はい?…あぁ首席と真城、急になんだ?」


「あの……実はとてつもなく無理なお願いをしに来たの……だけど、ロブじゃなきゃ頼めないことで…」


「俺にしか頼めないこと?……まぁいい、とりあえず話は中で聞くさ。入れよ。」





ロバート・キングはまるで旧時代の映画から飛び出して来たヒーローさながらの高身長に筋肉をまとった旧欧州系の青年だ。

故に、誰しもが彼を第一印象から(・・・・・・)"頼り甲斐がある"と感じる。


かくいう名影も決して例外でなく、Sクラスみんなの兄のような存在だと勝手に思っていた。背は芦屋の方が高いのに、ガタイの良さと落ち着きが、きっとその"頼れる雰囲気"につながっているのだろう………とはいえ。


「あのね……これからお願いすることは、本当に、とんでもない…お願いなの。」


真城の時とは違って、ロブは頼れるが名影との関係性がクラスメイト、というもの以外の何物でもない。

故に大変頼みにくい。


「どんなことかはわからんが、言うだけならタダだ。それとも…聞けば俺に断る権利が無くなる類のことか?」


「いえ……でも、ほとんどなきに等しくなる。」


「本当にその頼みが嫌なら、俺はあらゆる手を使ってでも断るから…言ってみてくれ。」


名影と真城は、その言葉に救われながら、ゆっくり口を開いた。






「……端的に、まずは結論から、言うと……








私と、潤と一緒に、カンパニーの戦争に、参加して欲しいの。」













ロブにとって首席は先代の芦屋も、今の名影も十二分に尊敬に値する存在だ。さらに言えば、彼らのまとう圧倒的な空気感……"余裕"と言い換えれば良いだろうか。

そういったものにも、少なからず畏怖の念を抱いていた。


クラスメイトとして、"近い"が、1人の人間として"遠い"存在。




その首席が、謎多きお供を連れて、自室へとやってきた。

しかも、なんとも自信なさげに「頼み事」をしにやってきたのだ。


「どんなことかはわからんが、言うだけならタダだ。それとも…聞けば俺に断る権利が無くなる類のことか?」


と聞けば、より顔を歪ませ悩ましげに言葉を濁らせる。


PEPEに入った時点でもとより、厄介ごとに巻き込まれる可能性は承知のうえだ。

さらに言えば、Sクラスにいる…という事実そのものが、まぁある意味では既に厄介なこと(・・・・・)みたいなもんだし……


でも首席には、どこか優しすぎるところがあるのも事実だからな…気を使っているのか?




「……端的に、まずは結論から、言うと……








私と、潤と一緒に、カンパニーの戦争に、参加して欲しいの。」






まぁ、とんでもないことを言われるとは思った。

が、






なんだ、大したこと(・・・・・)ではなかった。


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