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トラストルノ  作者: なさぎしょう
愛憎劇
239/296

≪外側≫観賞


「なんかさ、最近切り裂き魔(ジャック・ザ・リッパー)あんまり出てこなくね?」


「それな。逆に天使(ホワイト)()悪魔(ブラック)は最近よく出てくる気がする。」


「な‼︎相変わらずめっちゃつえぇよなぁ〜‼︎特に天使の矢!」




旧称アメリカ大陸。現在ほぼ唯一完全にトラストルノから切り離された外地(アウトサイド)だ。

ここではトラストルノという概念が産まれてすぐの頃から人気のゲームがある。


"SURVIV(サバイヴ)"


元々は仮想現実(バーチャルリアリティ)の中で鮮明リアルな"戦場"を楽しめる……という代物だった。

が、問題が多発した。

たとえば、現実と非現実の見境がわからなくなり、犯罪を犯してしまうものが増えたこと…これは深刻な問題だった。

その他にも問題は山積みだった。


そこで、外側から熱狂でもって応援をする、という楽しみ方に変わった。

いわば何処ぞの誰かがプレイしているゲームを、スポーツ観戦のようにみんなで観て、応援する、というわけだ。



小さい戦闘(ゲーム)はほぼ毎日休むことなく更新、開催され配信されていて、大きめの戦闘(ゲーム)は不定期で開催されている。


それが最近、小さい戦闘は減った。

日に二十も三十もやっていたのに、最近では片手で数えられる程しか配信されない時もある。


反比例するように……中規模な戦闘がここのところ勃発してはどちらかが押し勝つようにして戦闘が終わる、ということが増えていた。


今のところ大規模な大戦(イベント)の予定はないが、このまま行けば、最高に白熱する大戦(イベント)があるかもしれない。

この瞬間、待ち遠しさと高揚は禁じ得ない。






外側(アウトサイド)の人間は、画面(スクリーン)の向こうの仮装空間(バーチャル)で行われる擬似戦争(・・・・)に…"期待"を寄せる。



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