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トラストルノ  作者: なさぎしょう
愛憎劇
230/296

鑑賞


ティト・コルチコフ



彼女が裏切り者。アレイ・ディモンドとは別組織からの刺客。

しかもはるかに工作員(スパイ)としては優秀。


亜細亜座1つ目の演目は雑技団による眼を見張るような技の数々。


「で……どうするの?」


真城は初めこそ戸惑ったものの、また普段の無表情、無関心に戻る。誰が裏切り者だろうがなんだろうが、結局自分が名影の1番側にいて守る、ということにはなんら変更はない。

書類を膝の上でトントンっと整えると名影に返して、舞台に視線を戻す。


「ティトは、私よりも古株だし…なにより彼女が私たちにとって、何か邪魔になるような存在かも分からない。だから別の人に判断を仰ごうと思うのよ。」


「恩とロブ?」


「……そう。」


正直、名影にはよくわからない。"裏切る"といっても、具体的にアレイのようにこちらの妨害や、拉致に関与している訳でも無さそうだし……外部から来ているとは言え、もう8年近くはトラストルノにいる。

当然、工作員(スパイ)というのは長期に渡って、あるいは死ぬまでその地に留まることがあるわけだし、8年なんて対したことがないのかもしれないが、問題は年齢だ。

自己形成が行われるであろう期間に、ティトはトラストルノ(こちら)の、しかもPEPEという閉ざされた空間で過ごして来ている。


「俺は、零のことは信じてるし、その判断はいつだって正しいと思ってる。無責任だと思うかもしれないけど……俺はその分、最期まで零に着いて行くよ。」


雑技団が終わって、今度は白塗りの顔をした糸目の人形が数体乗った華やかな台が運び入れられる。


「随分、熱烈なプロポーズね」


名影は可笑しそうに笑いながら、真城を小突く。






トランプと、これから交戦することになった場合、ティトはこちら側についていてくれるだろうか?それとも不干渉の姿勢をとるのか。

そもそも今、どこに行っているのか?


トランプ自体はどうなっているのか…もしあいまみえることになったのなら、1番厄介そうなのはやはりジャックか?それとも資料を見る限りで顔の割れていない3人か……

とりあえずは普段はパブをやっているという"トレイ"という男にこの後話を聞きに行ってみようと思う。いきなりSOUPなんかに渡してやるつもりはない。


しかし…ここ最近ジャックにつけさせていた情報収集屋がジャックを見失ったといって、それっきり見つけられないでいる。

というのは引っかかる。

どこかに潜伏しているのか、はたまた捕まったのか……

案外…ジャックとティトが繋がっているのではないか?などとも探ってしまう。








いくつか演目が終わり、次の人が亜細亜座劇場内が割れんばかりの拍手と歓声に包まれる。

名影は何が面白いのか出て来た人物をみとめると、ニヤァッとしながらお手並み拝見とばかりに背を伸ばす。


真城の方ははじめ、出て来た人物がよく見えていなかったようだが、会場を揺らすほどの大歓声に身を乗り出してよく見る。とそのまま驚愕の表情で止まった。


「すごいでしょ。彼女が亜細亜座創設時からいる唯一のメンバーであり、1番人気の"鈴"。そんでもって、さっきわざと渡さなかったんだけどね…はい。」


真城は渡された紙を見る。




「ジェスター………クローン?」


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