研究島 旧日本3
「あぁ…その、あなたがキング?武闘派集団の…?」
目の前にいる少年は、多く見積もって12〜3歳ってところだろう。これでもかと言わんばかりの、綺麗な赤毛に、独特の青みがかった"灰色の瞳"。
…灰眼種だ。
「彼…エノーラはそんな状態で外に出して大丈夫なんですか?」
キングがいささか驚いた風をにじませ問いかけてくる。
「えぇ、でも本当は動きにくいだろうから、もう一つのシートに着替えさせたいんだけど…さすがに街中で着替えさせるわけにもいかないでしょう?」
アズは言葉の端に"だからいい場所を紹介して"という思いをにじませつつ答える。
「あぁそれなら駅構内にいい場所がありますよ。でもその前に、ごはんにしませんか?」
「は?え、いや、この非常事態に?」
「だからこそ、ですよ。」
「腹が減っては戦はできぬ…ってか?」
「いえ、先ほどからこちらを見ている人がいるので。撒くついでの、腹ごしらえです。」
至って普通に、レストランに入っていく。所謂"ファミレス"とか言うやつだ。
「それで、この後どう動くかなどは既に決めてあるのですか?」
適当に何品か頼むと、キングが改めて聞いてくる。
側からみると、この席に座る4人はどう見えるんだろうか。奇妙な4人と映ってやいやしないか。悪目立ちしていないか。
アズは周りを気にしつつ、キングの質問に困ったと眉を寄せる。
「埼玉か千葉かどこかその辺の過疎地域になってる所にでも一時的に身を隠そうかと思って…いきなり大陸の方へは行けないでしょう?」
「あぁ、そうですね。なら電車をもう少し使わないといけないですが…この店も、電車も、監視カメラの類はこっちでなんとかしますよ。」
この少年、何者なの…
「ありがたいわ。頼りにしてる。」
「お待たせいたしました。シーザーサラダと………」