研究島 旧日本
TITUSのあちらこちらで、同時多発的に問題が起こったおかげで、比較的簡単に外へ出ることが出来た。
エノラにとっては、初めてみる青空。
「わぁ……」
驚き目を丸くするエノラを他所に、アズとシロは今現在自分達のいる場所をなんとか把握していく。
「旧日本の地図でも結構なんとかなりそうだな。えっと…ここは…あっちに…だから…」
ちょっとした路地裏に入ると、エノラの着ているシートに異常や傷が無いかを確かめてから地面に下ろし、シロは防護服の上半分だけ脱いだ。
ふわっとした栗毛と緑の瞳が印象的な青年はそのまま地図のあちこちを指差しつつ確認していく。
一方の少女の方は茶色の瞳と茶髪が緩やかにその美顔に映えている。ただ茶髪の毛先だけが何故か金色になっていて、まるでリスの尻尾のようにも見えてしまう。
2人とも決して美男美女というわけでは無いが、雰囲気がかっこよく、頼もしい。
「つまり?ここは東京じゃないわけ⁉︎」
「違うな…神奈川だ。ちょっと見当違いの場所に出ちゃったみたいだ…」
なかなか地下との接続出口が複雑すぎて2人は頭を抱える。
「とりあえずこの島から出るまでの間、潜伏する場所が必要だな…」
「東京で例の人と落ち合って…それから、潜伏するとなると、千葉か埼玉の辺りにある大型ショッピングモールの廃地に行くか…」