異常者と異端者 6
ジージジッ……キーーーン…
カチッ
キーーーン…キーーンッッ……
部屋の中には金属を引っ掻いたような音や、熱された何かが焦げる時のような音、それから時折計測器のカチッという音も聞こえる。
それらの音とは別に、常に椅子の下から地響きのような振動がわずかに伝わってくる。
オーケストラの荘厳な演奏。
伏の鼓膜にはヴァイオリンの高らかな音色、フルートの囁くような響き、盛り上がりに向けて放たれるシンバルの力強い一発…が確かに聞こえている。
デュースが話している間には、全く聞こえなかった音達が、今は心地よく伏の耳を打つ。
伏はあいにく楽器には詳しくないが、大太鼓のあの腹にまで響く圧倒感は忘れられない。幼い頃に聞きに行った時に、あの深い響きが気に入った。
ジージジッ……キーーーン…
カチッ
キーーーン…キーーンッッ……
不協和音、異常音の連続、神経を逆撫でするための奇怪音…
脳にとって負担。脳が麻痺していれば関係ない。
神経が擦り切れる。イかれてれば問題なし。
本能的ストレス。危機本能の欠如。
全ては考え方次第だ。
なにも思想概念だけの話じゃない。
さて、異端者はいつ戻ってくるのかな?