異常者と異端者 3
「まずは、カンパニーの勢力図について、ですね。」
デュースは表情筋が弱っているのかと思うほど、全くの無表情で話を進める。
「勢力図って言われても…僕個人としては別に直接関わってるわけでも無いっていうか…」
伏は敢えて言葉を濁す。
時間を稼いでなにがどうなるわけでも無いが、相手のことを少しでも掴めるかもしれない。仮にここから逃げだせた時、役に立ちそうな事は少しでも探らなくては。
カチッ
「別に正しくなくてもいいんです。君から見て、現在最大に見えるのは、どこの代理戦争組織ですか?」
こう噛み砕いて質問されると答え辛いな…
カチッ
それから、何かデュースの発言には違和感がある。なにが?と聞かれると難しいのだが、引っかかるのだ。
「人数は東の紅楼が最大だと思いますが…」
伏がそう答えても、デュースの表情はピクリともしない。さっき大笑いしていた人物と同一とは思えない。
「では、武力なども考慮して、最強はどこだと思いますか?」
「えー…と、西…ですかね。」
実際伏には、現在東と西のどちらが強いのか判断しかねる。そこは比較的力が拮抗していると思うのだが。
北や南よりは東西のほうが強いだろうがな。
カチッ
「なるほど…人数と力は必ずしもイコールではないんですね。」
デュースの言葉からは若干の皮肉を感じた。が、本人の表情を見る限り、気のせいかもしれない。
悉く調子の狂う相手だ。
カチッ
「それでは次の質問に移ります。」
まずお前は男なのか女なのか。
伏は思った事は正直に聞かずにいられない性分であった。
「その前に、僕からも簡単な質問をさせてよ。」