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トラストルノ  作者: なさぎしょう
盤上駒
167/296

異常者と異端者 2


「立って話すのもなんだな…ちょっと待っていてもらえます?」


「どうぞ。」


奇妙な人物------デュースは一脚椅子を持ってくると、伏の目の前に置き、ゆったりと腰掛ける。

この目の前の人物は何か一つの行動をする度に印象が変わる。推測年齢もコロコロと変わっていく。


「さて、それでは取引(ビジネス)の話といきますか。」


伏はその言葉に眉をひそめる。


「ビジネスだって?僕の側は貴方に何も要求してないんですけど。」


そう言って睨みつけると、デュースは口を開けて天井を仰がんばかりに笑い始めた。

その様はとても幼く、彼自身すごく若く見える。まさしく少年のそれだ。


「はぁー…失礼。貴方は確かにまだ要求していませんが、しかし要求するべきですし、きっと私が言わずともするでしょう。」


ひとしきり笑うと、デュースは恐ろしい程スッと真顔に戻った。


「貴方は、我々に、もしくは私個人にでもいい、貴方自身の命(・・・・・・)を要求するのです。正確には貴方自身の命の自由、死の自由を要求することとなるのです。」


…なるほど。


伏はデュースをなおも鋭く睨みつけながら、内心納得し、そしてほくそ笑んでいた。




仲間の情報を売るか、自分の命を売るかだって?

そんなもの天秤にかけるまでもない。

仲間を売って生き残るだなんて、僕の美学に反する。他人からはよく"考え方が古い"とか"時代遅れ"などと言われるが、僕はそうは思わない。

仲間の死の上に生きるなど、生き恥を晒して平然と生きるなど……考えるだけで腹がたつ。


この考え方を他人にまで押し付けるつもりは毛頭無いが、それでも自分は突き通して逝くつもりだ。

やって見やがれ。




伏がそういった気持ちも込めて睨んでいると、デュースが旧時代に使われていたカウント装置のようなものを取り出し、一度押した。


カチッ


子気味いい音。

そしてまた再度押す。


カチッ


「あぁ、これは気にしないでください。」






精神的苦痛(ストレス)とは外傷・中毒・寒冷・伝染病・精神的緊張などの刺激が加わったとき、生体の示す反応のことである。

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