移動道中 2
優しそう。
そんなイメージを貼り付けた奴等が来たな。
カルマは幼少期に培った観察眼でやって来た4人を見て、瞬時に武器と財布の場所を確認する。ビジネス特区へやって来るだけあって財布の中身も大層なもののようだ。
奥の2人は右利き、手前左側の奴は右利き、右側の奴は左利き。銃持ち3人、ナイフは全員、スタンガンのたぐいが2人、1人は…閃光弾か?随分重武装だな。
「人質の身体チェックをさせてくれ。」
さぁもう出ようという時に、1人の男が声を掛けてきた。カルマは既に粗い麻袋を頭の上からすっぽり被ってしまっていたが、声からするに、恐らくは閃光弾を持っているであろうやつだ。
「あぁ…構わない。」
エイトは声に不安など微塵も匂わせない受け答えをしている。
が、実際はまずい状況だ。
エイトは結局、鍵を渡す方を選んだ。だからカルマの袖のところには鍵が隠されている。
身体チェックなんて即アウトだろう。
「足元、よし。ズボンも…よし。上着、よし。手錠………
よし。」
よし?カルマが上手く隠したのか‼︎
エイトとセブンは互いに視線を合わせることなく、安堵の息をついた。
「じゃあ行こうか。」
あぁ、何事も起こりませんように。
身体チェックか…アウトだ。
それはさすがにバレるぞ?
カルマは麻袋の中で唇を噛み締める。
「足元、よし。ズボンも…よし。」
ん?
よし、じゃない。何か硬いものがスルリとズボンのポケットに滑り込まされる。…ナイフか?
もしかして、この男…‼︎
「上着、よし。手錠………よし。」
明らかに袖口を探り、鍵を確認した上で男は良しとすると、「行こうか」と声を掛けてカルマを引きずるようにして歩き始めた。
その時、一瞬耳元で声が聞こえた。
「仕立屋、トランプ2、PEPE12、SOUP多数につき見当無し。3時のおやつをご一緒にいかが。」