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トラストルノ  作者: なさぎしょう
盤上駒
161/296

屈強な精神


目が覚めたら周りは暗いし、音もしないし、口にはなんか噛ませられてるし、身体はあちこち痛いし、そして動かないし…もう散々だった。

それも5分も経つと全身の神経が過敏になって、わずかな音や振動をも拾い始める。

目が見えない分他の感覚が研ぎ澄まされていくのがわかる。






さて、外から漏れ聞こえてくる声から察するに、これは拷問の一種、らしい。


「そもそも起きてんのかも分からんのに、あのまま放置してていいのか?死んでるんじゃねぇか?」


「大丈夫だろ。もうしばらくやってダメなら次らしいぜ。」


女王(クイーン)がここまでするの珍しいな。お気に入りの客人はいつも丁寧にもてなす位なのに…」


「いや、これはデュースの指揮下でやってんだよ。」






云々…なるほど、とりあえず"デュース"という名前が出てくる辺り、これはトランプにしてやられた、と考えるのが良さそうだ。




伏舞人(ふせまいと)は幼少期のある事件以来、人よりちょっとだけ(・・・・・・)耳や鼻や、目がいい。

そして、こういった状況に強い。


もちろん、身体的拷問となれば真城のように痛みを感じないわけではないから些か辛いが、精神的拷問となれば別段心配には及ぶまえ。

トランプのやつらは馬鹿だ。

もっとよく調べてから誘拐する奴は選ぶべきだったな。




伏舞人(ふせまいと)真城潤(ましろじゅん)

2人はSクラス内で最も拷問の類に強い。

Sクラスは今回のような事態も含めて、学生のうちから若干SOUPに片足を突っ込んだような状態になる。だからこそ、万が一捕まったり拷問されて内部情報を話されては困る…と拷問に耐える授業というのがあった。


ティトやシヨン、恩なんかはどの処置にも辛そうにしていた。

芦屋や名影くらいになっても、やはり気合いと根性でなんとか、乗り切っている感が強かった。

そんな中で伏と真城だけはどの拷問にもあっけらかんと耐えて見せた。

真城はともかく、伏がケロリとしていることにはクラスメイト全員が驚きであった。


この程度でへこたれてたまるか。

余裕だわ‼︎ナメんなよ‼︎


他とは少しズレたプライドの持ち主だった伏は、本人曰く"漢気"で乗り切ったそうだが…それは他の人にはとても真似できない独特な意識の移行にあるらしい。




「連想ゲームみたいなもんだよ‼︎」


この血痕はなんだ、と言われて真っ先にケチャップを思い浮かべるような感じ。殴られた時に、布団にくるまれた瞬間を思い浮かべるような感じ。


伏の説明に納得できたものはいない。理解も正直出来ない…難しすぎる。






要するに思考回路がイかれてるのだ。


舞人の弟がSクラスの人達に言い放った結論がそれだった。自分を守るために、意図的に一時的な脳のバグを起こさせる。

そしてそれを自分の意思で、また正常に引き戻す。




屈強で異常な精神の持ち主。






伏の囚われている部屋に誰かが入ってくる音がする。


伏はまだイかれるスイッチを入れない。






さぁさぁ、僕を屈服させられるかな?


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