交渉 トランプ×SKANDA 5
「協力要請であることはすでに事前に聞き及んでいる。して、いかような協力を求めているのか、そこのところを聞きたい。」
ジャックは改めて姿勢を正す。
「はい。今回、トランプはSOUPに攻撃を加えました。その時点では特に問題が肥大化する筈では無かったのですが、SOUPがPEPEの生徒を使ってきたことにより、意図せずして、そこに子供を預けるカンパニー幹部にも不信感を抱かせるに至ってしまった次第です。」
するとグプタは顔を僅かに歪めた。ジャックはそれが笑っているのだと気づくまでに数秒かかった。
それくらい歪んだ笑顔だ。
「ははは…どうせまたアレだろう。女王の悪い癖で子供を攫ってきたんじゃないのか?目の前の愛息子には目もくれずに。」
ジャックは口を引き結び、ただただグプタの言葉を聞く。
「あれはもう病気だろうな。…いやまぁそれはともかく、だ。」
白濁の瞳がより一層強く、ジャックを見据える。
「君は我々にSOUPとPEPEと、そしてさらにはどこかのカンパニーとまで対立しろ、と言っているのかな?」
「まさか‼︎ただ、少しだけ、少しだけご助力願いたいだけなのです。」
「後ろ盾になれということだろう?ふむ…悪くない話だ。君らはそんじゃそこらの兵士共よりはるかに優秀だし…なにより私らは君ら親子を大変気に入っている。」
ゾワッ……
嫌な汗が背中を伝い、多足類の昆虫が手足を這ったような感覚に襲われる。
「協力するのは構わんよ。」
あぁ、この先は聞いてはいけないのではないだろうか。
「ただし条件つきだ。」
金か?それとも女王その人か?
「イディ、君が欲しい。」
あぁ、この人は女王と使者の事をよく知っているのだ。
その上で欲しいのはクイーンでも、ジャックでもなく…
「僕自身……ですか。」