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トラストルノ  作者: なさぎしょう
盤上駒
146/296

交渉 トランプ×SKANDA 3


随分、不躾なお呼ばれをされたもんだ。


ジャックが目を覚ますと、自分の身体はすでに()だるような暑さの及ばない、室内にあった。

旧時代の頃の手動の車椅子に括り付けられているようで、周りに足音が数人と、真後ろに車椅子を押している人物がいるのが分かる。

目隠しの上からさらに麻袋を被せられているようで、首元がチクチクするのが気になるが、まだ目が覚めたことを相手に悟らせないように…とジャックは目が覚めた瞬間から、徹底して四肢に力をいれずにいた。


「おい、本当にこいつが交渉に来たやつなのか?」


「間違いないさ。」


「だってこんなガキだぞ?しかも女みてぇな顔してっしよ。」


失礼な奴がいるな。

ジャックは内心毒づきつつ、自分の容姿を思い浮かべる。確かに、幼く見られることはあるし、そもそもまだまだ若い。正確な歳はわからないが22か3くらいのはずだ。

"女みたい"もまぁ…そもそもパーツは母似だからな。

でもナメられているようで良かった。

変に警戒されたりしていると落ち着かない。


「売っちまった方が金になりそうだけどなー。」


「高く売れそうだもんな。」


おい、いくら気絶しているからって本人の前でそういう話するなよ。

ジャックが内心ツッコミを入れていると、周りを囲む男達の間から奇妙な発言が聞こえてきた。


「ダメだ。そいつは(トップ)の好いていらっしゃる女王(おんな)の息子らしい…向こうさんから"手出しは絶対にするな。"ってキツーく言われたらしいからな。」


「そんなに大事な息子さんならこんなところに単身送り込むなよなー。」


女王(クイーン)が…手を出すなと言った…?

本当に?


…いや、手駒が無くなられては困るからか。

特別な意味などはないのだろう。






「よし、このまま入れるぞ。」


「軽いから持ち上げるのは2人で足りるな。」


ついに、ご対面か?


ジャックは覚悟を決め、目を見開き麻袋と目隠しが取られるのを待った。


ガサガサっ…パサッ…


瞬時に明るい場所に目を慣らす。すると部屋の中の様子が少しづつ分かってきた。




部屋全体は照明のせいか全体にまるでオレンジ色のエアスクリーンがかけられたかのように見える。

さらに、部屋のあちこちに見事な刺繍の施された絨毯やタペストリー。豪奢な彫り物のタンス。

部屋全体がとても豪華に作られているのに、決してしつこさは感じない。現代的なものが徹底して省かれているからだろうか…?


部屋の主は目の前の人物なのだろうが、あえてジャックは部屋の隅々に視線をやることで、その人物と目を合わせることを避けた。

ジャックには恐ろしく感じられた。

何も映さないはずの…

実際、今も何も映してはいない…


しかし恐ろしいのだ…






あの白濁の瞳(・・・・)が…


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