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トラストルノ  作者: なさぎしょう
遊戯場
127/296

コンテナ戦地 逃亡


「走って‼︎いいから走れ‼︎」


ジェスターの鬼気迫る声なんて初めて聞いた。それくらい、あの少年(アンディー)はやばいのか…

階段を下りきって今度は右へ左へ、一旦地上に出てから次の階段へ…ジェスターを先頭にコンテナ群から出るために奔走する。


「ガキを1人連れ帰らないといけないんだ‼︎ジェスターそれだけ仕事をさせてくれ‼︎」


「必要ない。デュースが捕まえてくれてる。」


「デュース⁉︎デュースまで動いてるのか⁉︎」


「えぇ、今回は少年の捕獲だけが目的なわけではないからね。むしろこっちは陽動よ。」


「先日の…レベルEについての情報収集が本当の目的かい?」


テンが問うと、ジェスターは頷く。

ジャックは詳細が自分に知らされていなかったことに、なんだか虚しさを感じつつも考えを巡らす。

情報収集となるとトレイやケイト、それからセブンの出番か?それとも…今回はさすがにエースも参加しているのか?

ジャックですら会ったことのないトランプ構成員。



「見えてきた‼︎あれが出口。」


ようやっと外に出る。


「向こうに手動運転車(アンチカー)が停めてあるから‼︎そこにデュースもいる。」


コンテナ群から1歩出た瞬間、隣にいたテンがぐわっと後ろに引っ張られた。

もう、追いついて来たのか⁉︎金属の焼けた匂いが鼻をつく。テンは首に食い込む手を振りほどこうと必死だが、とてもそんな抵抗ではほどけない。


「くそがっ‼︎」


ジェスター、ジャックも銃と日本刀を構えるが、テンが壁になってしまって下手に攻撃が出来ない。

その間にもテンの顔は赤から青へ…ジャックは足元を撃つが、なんの牽制にもなりゃしない。


「…っひゅ……う、ゲホッケホッ‼︎」




突如、少年の頭がガクンッと妙な揺れ方をして崩折れた。


「…‼︎ナイン⁉︎おまっ、いいのかここにいて…」


「でも来て正解だったろ…」


「それは…まぁ。」


ナインの手には細長い警棒のようなものが握られている。一箇所にだけ高圧の電流を流すスタンガンだ。

少年はどうやら気絶しただけのようだが、それでも容赦なくそれを頭に突きつけるとは…


「なぁ…俺もお前たちと一緒に帰って(・・・)いいかな?」


「もちろん…でも、いいのか?」


「あぁ…うん、潮時かなって…今日で僕の学生生活は、終わり。」


そう言いながら、ナインは少年をそっと近くのコンテナに寄りかからせてあげる。その仕草からは名残惜しさが伺える。


「好きな奴が居たんじゃなかったのか?」


「ふふっ、あぁそうだった、その子の仇として一発殴らせろよジャック。」


「あの子だったのか…そりゃ、ごめん。」


ジャックはぎゅっと目を瞑る。その頬をナインは軽くぺちっと叩くと俯き、それからギラリとした瞳でジャックを見据え宣言した。








「今日で学生の、PEPE東校Sクラスの…彼等のクラスメイトの…




アレイ・ディモンド




とはおさらばだ。」




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