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トラストルノ  作者: なさぎしょう
遊戯場
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コンテナ戦地 人ならざる者


愛生は小さい頃からオドオド話すタイプで、それは脳以外を完全機械化したあとでも変わらなかった。

人間もどき(アンディー)には分類されるものの、15歳まではいたって普通で機械化も一切していなかったし、現在も身体の一部がまだ生身である、いわゆるB分類に属している。A分類は身体の5割以下が機械化されている人、5割以上機械化ただし脳など含めどこかがまだ生身であればB分類にされる。そして完全機械化されていればC分類に。

B分類だったおかげで、記憶も性格も元のまま……


だったが戦闘力においては当然、多大な変化が見られた。つまるところ動き考える人間兵器であるわけだから、そりゃあただの人間レベルで競える訳がない。




ヒュンッ‼︎ ガッドガッ グシャッ‼︎


愛生が殴ると当然相手は避ける。その後には凹んだり、吹っ飛ばされたりしたコンテナの残骸。中に物が入っていたコンテナの周りには、その内容物が散乱している。

それにしてもあの黒い女やばいな。愛生の攻撃を避けてるばかりか刀をうまく使って攻撃まで加えてるよ…






「ジェスター‼︎なんだあいつ…あぶねっ‼︎」


「さぁ…たぶんアンドロイドかなんかかと。」


「ふざっけ…っと‼︎」


避けても逃げてもキリがない。少しでも背を向けたらアウトだ。

こういう時、つくづくジェスターはすごいと感じる。

相手の攻撃を明らかに読んでいる。読んだ上で避けて、さらにこちらからも一撃加えて、かと思うとまたヒラリとかわす。常に冷静さは失わない。


「どうするべきだと思う?いやここ指揮しなきゃなんないのはおれなんだけどさ‼︎」


「とりあえず、あっちに引き寄せる。」


ジェスターは少し奥の四方をコンテナに囲まれ穴になっている場所を示す。


「アンドロイドの少年さえ殺れれば、逃げるも戦うも容易い。」


いや…それはそうだが、あの穴に連れ込むとどうなるってんだ?






シヨンの事をティトとアレイに任せ、芦屋、真城、和田はコンテナの上を突き進むジャックと死神、それから蒼井を追う。


「なぁ、蒼井は…アレ、どういうことだ?」


走りながら口を開くが、事態が事態なだけにまともな言葉が出てこない。


「どういうことって、見たまんま。アンドロイドで、めちゃくちゃ強くてかっけぇ‼︎」


んなことぁ見りゃわかる。違う、おれが知りたかったのはもっと、内面的な部分ことだ。


「ちげぇよ、なんであいつはアンドロイドなんだって話だよクソが。」


どうやらさっきぶつかられたのが相当気にくわないらしい真城がキレ気味に和田につっかかる。


「えーとなんか事故とか色々っすね。15歳まではいたって普通の生身の人間でしたしね‼︎」


なぜPEPEはアンドロイドなんて生徒にしてる?いやそもそもあいつは生徒としてPEPEにいるのか?


「あ、でも脳みそは愛生自身のものっすよ‼︎天然物‼︎」


人間もどき(アンディー)が実在することくらい芦屋だって知ってる。だがそれはあくまで人間兵器としてのアンドロイドだ。

日常生活を共にするアンドロイドなんてなんのために必要なんだ?だいたい脳は天然物だの、元は生身の人間だの…それは、なんだ、異世界の話かなにかか?


「おい、なんかコンテナ群の中に入ってったぞ連中…蒼井(あいつ)も一緒に飛び込んだ。」


「あ?」




芦屋達も、遠くから様子を伺っていたティト達も、爆音と爆風に衝撃を食らった。


しかし、それは次にきた衝撃とは比べものにならない、ほんの些細なことだった。





穴の中に飛び込むとすぐに、ジェスターについてコンテナの1つに飛び込む。すると、中には階段のようなものがあり、そこからテンが顔を覗かせ手招きしていた。


「行って‼︎」


ジャックが階段に滑り込むのと同時にジェスターが脇にあったレバーを引く。そしてそのまま横っ飛びにジェスターも階段へ身を滑らせた。


ヒュッ……ドォォーーーーンッ


一瞬の静けさののち、周りにはけたたましい爆音が響き渡る。階段の途中で身をかがめながら、その爆音が静まるのを待った。

それにしても…なんつー爆弾(モン)使いやがる…


「死んだか?」


テンの問いにジェスターが静かにしろと制止し、隙間から外を覗いた。




確かに、アンドロイドは生身の人間より肉体的に強い。それはその通りだろう。だからって……



「いった…皮剥がれた…」


顔の半分は不気味なロボット映画さながら、左半身の裂傷が激しい。…いや、裂傷ではないのか?



どちらにせよ、あれは…


化け物だ。


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