コンテナ戦地 死神再来
「あんたらは、たった2人で俺らを待ち伏せしてたのか?舐められたもんだな。」
「いやいや…お前達は優秀だ。だからこそハズレにこんなに人数が来ると思わなかったんだよ。完全に読み外れさ…」
ジャックは、息が詰まるか詰まらないかのギリギリを見極めて首を絞めてくる目の前の少年ー真城潤を笑顔で見返す。
無理にでも笑っていないと、この少年相手に恐怖心が募っていきそうで。とにかく笑って冗談交じりに話す。
本当は肩が痛い。
「なぁ…なんで殺さなかった?」
「んぇ?あぁ誘拐した子のことかな?そりゃあ殺すなって言われたからさ。」
「なんで殺すな?」
「………さぁ?」
真城の目はどこまでも真っ直ぐにジャックを見続ける。まるで内奥に隠された秘密を暴き出してやろうとするかのように。
この目は…嫌いだ。
真城はジャックをどうしてやろうか考えているようだ。ジャックはなんとか仕込みナイフかなにかで気をそらさないかと考える。
しかし見た目に似合わず真城の力が強く、思うように手もチェーンソーも動かせない。
その間にも首が絞まっていく。
まずい…オちる……
意識が薄れはじめたその時、突然に真城から掛けられていた力の全てが消えた。それどころか真城自体が視界から消えた。
どうしてやろうか。
殺す?でも零がいたら生け捕りにしようとするかもしれない。
それに芦屋の指示をちゃんときいて行動するようにとも言われている…
とりあえず意識を奪ってやろうと手に力を入れ……その瞬間、身体が横っ飛びに吹っ飛ばされた。
「…っが‼︎」
なにか巨大な塊が突撃してきたのだ。
「ってぇ…」
しかもその物体は声を発しだした。
よく見れば、こいつ…芦屋たちと一緒に行動してた筈のオレンジ野郎じゃねぇか?
「ってか重い。どけクズ、なに体当たりかましてんだボケが。」
「うわっ口悪っ‼︎…じゃない、俺吹っ飛ばされたんすよ‼︎」
「はぁ?なんだよロブみてぇな怪力野郎がいたのか?」
「ロブ?は知らねぇけど、ちげぇな。もっと細っこい華奢で黒い女だ。」
華奢…黒い…?もしかして…
「ジェスター⁉︎」
ジャックの声が反響し響く。真城はハッとして声の方を見た。
さっきまで真城が立っていた場所に、その人は立っていた。真城の大切な人にそっくりな顔で、そのスタイルを強調するような黒いパンツスーツに身を包み、小柄な様からは想像もつかないほどの威圧感と殺意にも似た影を背負って…
立っている。
------死神。