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トラストルノ  作者: なさぎしょう
序章
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戦闘訓練 恩vsシヨン


この狭い部屋(ケース)での1対1は、恩のような長物銃中心に扱う人間には不利だ。隠れる場所は当然無いのでライフルだの大型の猟銃は向かない。とりあえずショットガンを借りはしたが、これでも不利には変わり無い。

せめてもの救いは相手が"シヨンだ"ということだ。今回もそうだが彼女はカンフーなんかで使う(こん)のような武器を使用した棒術を得意とする。


舞うように繰り出される、華麗な技は大したものなのだが、銃器を扱う側からすると首席やナギ、真城のようにあっという間に間合いを詰める接近戦を得意とする相手よりも、芦屋のように相手もある程度距離を取るタイプやシヨンのように極端に間合いを詰めてこないタイプの方がやりやすい。接近されすぎると、どうしても撃ち辛くなる。

長物銃だと尚更だ。


「でも、隙は無いね‼︎」


この1対1のさらに嫌なところは、ペイント弾を使用する関係上、施設の借り物銃でやらなければならないことだ。

愛銃と違い妙に軽すぎたり、と思うと変に重く扱いづらいことこの上無い。

そんなことは言い訳になるかもしれないが、さっきから撃った五発全て、棒に弾かれている。


「ペイント弾っつっても、普通の弾丸と変わらないサイズにスピードなのに…よく見えるね…」


それでも、こちらもだんだんシヨンの動きに目が慣れてきた。

左からの打撃のち、素早く右下からの追撃。


シヨンには他のクラスメイトのような"隠し持った2つ目"の武器や技は無い。だからそれを警戒する必要は無い。

その分棒術は圧倒的。

でもその1つの隙さえ狙えば…



…タンッ……バシュッ



少しくぐもった音ともにショットガンから発されたペイント弾は、真っ直ぐにシヨンの心臓の辺りを捉える。

当たった瞬間、片側の、シヨンの方に1HITの文字とGAME OVERの文字が浮かび、顔写真のところに赤でバッテンが描かれた。ことごとく腹の立つ演出だ。

とりあえず、ショットガンの腕もなまってなくてよかった。





余裕綽々(よゆうしゃくしゃく)といった風に、一撃一撃をヒラヒラとかわされて、自分の戦闘能力の低さに泣きたくなる。

これでも棒術は母から教わって小さい頃から得意としてきた、そしてこのクラスで唯一これだけは他に負けないと思える特技なのに…


「ふっ…はぁっ‼︎」


それでもこちらだって負けられない。恩が放つ銃弾を見極め、身体をしならせ避けつつ、手に持った棒で弾く。


ところでずっと思っているのだが、銃器や鋭利な刃物類はともかく、私は自前のぶきでよくないか?施設のは、本当にただの赤いインクのついた棒、もしくは鉄パイプ。絶対、鉄パイプのが危ない。


「よく見えるね…」


シヨンが銃弾をまた弾くと、恩が呟くのが聞こえる。


恩には私の動きが冷静に見えているということか…

1対1で恩とあたるのは久しぶりだが、本当に相手をよく見て動く。動きを読まれてはダメだと思うのだが、明らかに読まれ始めている。


左、間髪入れずに右下からの追撃‼︎

それもあっさりかわされた瞬間、恩と目が合った。

まずい…振り上げすぎた、避けきれない…



…タンッ……バシュッ



この訓練の何が1番イヤって、刃物とかならまだしも、銃器系を相手にしていると、ペイント弾だから当たってもさほど痛くない。

だから負けた気がしない。

終了を告げる機械音が腹立たしい。


『シヨン・マチルダ 1HIT 心臓上部へのヒットにつき戦闘不能 ただちに戦闘をやめてください』


んなこと言われんでも分かってるわ‼︎‼︎

これ見よがしに人の顔写真にまでバツしやがって‼︎‼︎


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