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ANOTHER WORLD  作者: 柏餅
3/4

決意


「なぁ、聞いてくれよ。さっさと用事済ませたいんだ。腹減ったんだよ」


「ふざけるな! こっから生きて返さんぞこの悪魔め!」


「…もしかして腹減ってんのか?マック行く?」


「行くわけないだろ!」


ベルと神父の様な男は押し問答を続けていた。


「(…今がチャンスかな…早く屋上から逃げよう)」


そう思って結は出口に向かってソロソロと歩き始めた。

その間も神父の様な男がヒートアップしていた。


「もういい! この純銀の剣を喰らえ!」


そう言いながら懐から銀色の剣を取り出した。

そして、その剣を大上段に振りかぶり、思いっきりベル目掛けて振り下ろした。


「あらよっと」


それをあっさりとベルは交わし、カウンターに腹にパンチを叩き込んだ。

神父の様な男は5メートルほど後ろに吹っ飛んで、ピクリとも動かなくなった。


「…はぁー。おい、ちょっと待て」


「ヒッ…な、何ですか?」


出口目前まで移動していた結が真っ青な顔でベルの方を向いた。


「いや、あんな、そんなビビんなくていいからさ」


「は、はい…。あ、あのさっきの…」


「ん…あぁ、魔女狩りのメンバーさ。時代遅れだよな、まったく」


結はまったく事態が呑み込めずにいた。

まず、魔女狩りは中世ヨーロッパの話だ。

それに、その狩りの対象になったって事は…。


「君は魔法使いだ。思い当たるフシがあるだろう?

何か特殊な力が使えたりするんじゃないか?」


図星をつかれ、結は仰天した。


「こ、この力について、何か知ってるんですか!?」


「勿論。ほら」


そう言うとベルは手の平を差し出した。

次の瞬間、手の平に火花が散った。

火花は徐々に大きくなり、やがて小さな炎となった。

結はその光景に感動した。

自分以外にも居たのだ、普通じゃない人間が!


「人間の中でこの力を操る事が出来るってのは、すげぇレアらしいぜ」


「………」


「さて、こっからが本題だ。お前、この世界は窮屈なんじゃないか? 生きづらいだろ」


その通りだった。

友達も家族も何もない日々、正直死にたくなる日だってあった。

周りとは違う自分にいつも結は怯えていた。


「…はい」


「だよなー。でな、魔女狩りも彷徨いてて危険だし、君を我々の国にご招待したいと思ってるんだ」


「我々の…国?」


「そう。君みたいなこの世界のはぐれ者や人間じゃない連中がいる所さ。どうかな?」


そう言って、ベルは手を差し出した。

その手を見ながら結は考えていた。

この世界から逃げ出したい、ラノベの様な異世界に行けたらいいのに、そう思いながら今まで過ごしてきた。

今、この手を取れば夢にまで見た世界に行けるのだ。

チャンス!逃すわけにはいかない!

結は思い切って、ベルの手を握った。


「よし! 決まりだな。俺の名前はベルフェゴール。ベルって呼んでいいぜ」


「神原 結です! よろしくお願いします!」


こうして結は新たな道を歩むのだった。



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