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悪夢から始まる恐怖

作者: 神名代洸

朝晩は涼しくなってきたこの頃から私は悪夢に悩まされていた。それはとてもおぞましい怪物が出てくるものだった。何故か起きてからも覚えており、さっとメモをして文章に書いていた。


「やっぱパニック映画を見たのがいけなかったかな?怖い怖い。」


そう言いながらタイトルを見てみる。

【キマイラー】

タイトルからだけならさほど怖くなく見える。だが、実際は化け物が人間を襲うというホラーもの。その化け物を退治する人間もいるが、仲間は1人、また1人と犠牲になっていく…。その殺され方も気持ちが悪く、食事をしてなくてよかったと思うほど。


汗びっしょりかいていたので気持ちが悪かったが、今さっきまで怖い夢を見ていたばかりなので1人で部屋を移動する勇気はない。服をパタパタさせ汗を逃す。

時計を見ると朝の3時半。

まだみんなぐっすりと寝ている時間だ。


「どうしようかなぁ〜。でも気持ち悪いからなぁ…行くしかないか。」

風の音が強く、カタカタと音が聞こえる。その音も不気味に聞こえてならない。

ヒューヒュー、ガタガタガタガタ……。

「ひっ…。やっぱり怖いなぁ〜。でも起こすのも悪いしなぁ〜。そうだ、歌いながら行こう。」そう言って思いついた歌を次から次へと歌い続ける。声が大きくなるのは仕方がない。

浴室に着いたので、ササッと服を脱いでシャワーを浴びる。

サッパリしたから気分も良くなった。

フンフーンと鼻歌を歌いながら自室へと戻って行く…。【カタッ。】と何か音が聞こえた。どこから聞こえてきたのだろうと疑問に思いその場にジッとして聞き耳を立てた。

【カタッ。】

確かに聞こえる。

どこからだろう……。音がした方へと歩いて行った。

そこは仏壇がある床の間だった。

中から確かに何かが聞こえる。

ドキドキが止まらない。

震える指先を動かして、仏壇を開けた。

その時モワッとした空気が漂っていた感じがした。部屋の電気をつけてみても特に変わったところはなかった。でも音は確かにここから聞こえてきていたのだ。

その時何かが動く気配がした。

小さく真っ黒い何かだ。その黒い小さな何かが突然目の前を飛んだ。そう、【ゴキブリ】だったのだ。突然のことだったので思わず叫んでしまったが、すぐに気を取り直して攻撃に出た。足が速く、生命力が強いゴキブリはなかなか仕留められなかったが、何度目かのトライで何とか成功した。

私は汗でグッショリしてしまった。

お風呂に入ったばかりだったので2度も入る気は無かった。

「ゴキブリはないよ。私、虫大っ嫌いなのに……。嫌な汗かいた。」

そう言いながらも恐怖が薄れているのを感じていた。その時またカタッと音がした。

またかと思ったが、一応確かめてみることに。眠気も覚めてしまっているから問題なかったが。

ソロリソロリと歩いて行くと、また仏壇の前に来ていた。何故かロウソクが立てられたままだったのに火がついていた。恐怖が増していく。こんな時間にロウソクに火なんかつけないからだ。私も何も触ってはいない。【カタッ。】「ひっ。」恐怖が心臓をわしずかみする。電気がついているこの部屋以外は真っ暗でシーンとした部屋は不気味さを増長させる。怖くなった私は足早にその部屋を後にした。ロウソクを消して。慌てて自室に戻ると布団を頭からかぶりガタガタと震えていた。

しばらくすると何か音が近くから聞こえたような気がした。でも布団をめくる勇気は今はまだない。ドキドキが止まらない。

意を決して布団をめくるとそこには黒い塊がいた。目だけがはっきりと見える。

その恐怖に私はその場で気を失った。

目覚めたのは朝になってから。

あれは一体何だったのか、今でもわからない。

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