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第56章ー林の親切

 会議の後、林忠崇はふと思いついたことがあって、大鳥圭介を訪ねた。

「旧新選組の面々と土方歳三少佐の再会の集いをしたいか」

「はい、どんなものでしょうか。志願兵の中で80名余りが旧新選組所属です。その中には土方少佐の連絡に応じて来た兵もたくさんいます。土方少佐も一言言いたいでしょうし」

「悪くはないが、一部の兵だけひいきしているように見えても困るな」大鳥は考え込んだ。

「旧新選組の者が集会をしたいといってきたが、土方少佐は当事者なので、代理で私が大鳥大佐に許可を求めたという形はどうでしょう」

「誰か心当たりでもあるのか」

「はい」林には心当たりがあった。


 林はその足で斎藤一と島田魁の元へ向かった。

「新選組の面々の集会の発起人ですか」

「私は部外者なので発起人にはなれません。代わりに発起人になってくれませんか」

「いいですが、一つ条件があります」斎藤が悪い顔をした。

「何でしょうか」


「まあ、いいでしょう。それでは名前をお借りします」林は斎藤と島田の元を辞去した。

「厚かましいお願いではありませんか」島田が斎藤をたしなめた。

「厚かましいお願いかもしれんが、林大尉が新しい新選組の副長みたいなものだ。そして、幸いなことに林大尉の剣の腕は中々だ。かつての新選組の面々に林大尉の剣技を披露してみたいと思わんか」

「思いますね。特に相手が相手ですし、得意技も沖田を思い出させるものですし。ところで、相手には事前に言っておかなくてもいいのですか」

「言ったら面白味が減ると思わないか」

「確かにそう言われれば」

「それにあいつの今の剣の腕も知りたい。腕が落ちているとは思えないが」

「あの人の剣の実力が落ちているとは私にも思えませんね」

「それに土方さんと同じ船で来たというのもちょっとしゃくに障るしな」

「その理由が最大では」

「悪いか」

「悪くはないですよ。私もその点では同感ですし」


 林は大鳥のもとへ行った。

「斎藤一さんと島田魁さんが発起人になってくださいました。これでどうでしょうか」

「よし、いいだろう。明日から第1大隊がいなくなるからな。少し施設に余裕ができる。訓練が終わった後、明日の夕方からやるといい。土方歳三少佐には私から言っておく」

「ありがとうございます」


 土方少佐は大鳥旅団長に呼び出しを受けた。何事かと思いつつ大鳥旅団長のもとに行くと、大鳥旅団長が開口一番に言った。

「よい部下を持ったな。斎藤一と島田魁から林大尉に対して、旧新選組の面々で一度集まりたいとの希望があった。本来なら土方少佐に言うべきとは思ったが、公私混同と思われそうで林大尉に言ったそうだ。林大尉も考えた末、私にその話を持ち込んだ。君も一度、出動前に旧交を温めたいだろうし、私が許可する。明日の夕方から集まるといい」

「ありがとうございます。私も一度、出動前に旧交を温めたいと思っていました」土方は感謝した。

斎藤一が何をお願いしたかは次回に明かします。

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