護朗の日常02
こんにちわ。お馴染み、ロボットテディ・ベアの護朗です!
僕は今、ご主人様の住まわれているお部屋にいません。
何処にいるのかと言いますと。
「護朗、腕の調子はどう?」
「大丈夫です。」
「そっか~。試しに撃ってみてくれる?」
「はい。」
壁に向かって一発。コンクリート(装甲済み)が蜘蛛の巣状にヒビが入り、中心に少々の穴が開く。
「うん。いいかんじ~。じゃ、次お腹。」
「はいっ。」
内蔵ボタンの一つを押すと、ケージに収められている動物達が猛烈な勢いで駆けて来た。ジム・ショッキー(ハンティングガイドだが、彼がガイドすると大物が近距離でやってくるという不思議な人)も吃驚な程である。
「次。」
「はいっ。」
次のボタンは(人工)和み音波。これはご主人様の前では大体発しているのでテストする必要は無いのだが念のため。
「大丈夫みたいだな。さて次は新システムに移ろう。護朗の希望通り内蔵量とチップ増やしたし、ボディ強化も済ませているから大丈夫だとは思うけどね。」
そう言って溜息を吐く。
「ただ、この仕様のボディはまだ一体しか出来ていないから壊さない様に気をつけて。」
「はいっ。」
頷く僕の身長は120cm。動くテディ・ベアとしてはこの身長が限界だろうというのが博士の話。
僕は手早く佐々木さんにお願いして貰った燕尾服に着替えてから(ちなみにそれまでは裸・・・恥ずかしいっ。)手を伸ばす。
「じゃ、いくよ?」
博士の眼鏡が光、額から汗が流れる。
「はい。」
僕も神妙に頷き、実験開始!
「まずはアイロン掛け!」
「はいっ。・・・・・・・・出来ました!」
この間8秒。
「次、傘巻き。」
「・・・出来ましたっ!」
3秒。しかも完璧な巻き方である。
「お茶・・・は好みがあるから置いておくとして、完璧な所作!」
「元から出来ます!」
「じゃあ次は私自慢の守君12号と戦いなさい!」
「はい!」
1分後。
「・・・・・うっうっ、私の守君12号が・・・・・。手加減してくれてもいいじゃないか。」
ガラクタと化した守君12号は煙を出している。
「・・・またつまらぬものを飛ばしてしまった。」
「つまらなくなんかないよ!私の汗と涙と愛の結晶が・・・・まあ、一番の結晶は君だけどね。」
「いえ、博士がインプットしている言葉ですから。」
「そうか、そうだった。さあ、これで君も有能な執事だ!」
「ありがとうございますっ博士!・・・でも僕、これじゃあご主人様に軽食を作る事が出来ません・・・・。」
悲しげな声を出す護朗に博士は優しい笑みで頷く。
「それは頑張ってなんとかするからとりあえずは今の状態を維持してくれ。何かあったら直ぐに連絡するんだよ。」
「はいっ!・・・あっ、ご主人様のお茶の時間です!それじゃあ、博士失礼します!」
燕尾服姿の護朗は可愛らしく頷き、柔らかそうな両手両足を動かしてご機嫌な様子で走っていった。(時速80Km)
やっと博士が出せました!奇人の博士は籠もりきりですが、自分の作ったロボット達には限りない愛を注いでいます。護朗は最高傑作なのでその愛もひとしお。