3話
城下町で最後の準備をしてバルビアを後にする
魔王城宛に郵便もだしておいたから後の事は大臣共がなんとかするじゃろ
「それよりもお主…本当についてくるつもりか?」
そう。このウェアウルフの娘は自分からついていくと言って譲らん
「ドミニクだけじゃ不安だし…粗相するかも知れないから…」
耳がピクピクと動いておる
なんとなくじゃが本音を隠しておるのを感じるの
まぁ本音はコレじゃろ?
「とか言ってドミニクと妾が二人きりなのが嫌なんじゃろ?」
耳がピーン
うむ。当たりか
「妾は別についてきても構わんぞ。運命の相手に会えればそれでよい」
「でも…会う場所の一つにこの街があるってことはドミニクである可能性だって否定できませんよね?」
むぅ…そんな考え方もあるのか…
「じゃが妾の夫にはちぃっと弱いのう」
レベルもそうだけどキャラものう
「ドミニクが運命の相手に入っとらん事を祈っておく」
こればかりは妾も解らん
それよりも
「シノン。お主それで外に行くとは言わんよな?」
「え?だめですか?」
ステータス的に表示するとこうなる
シノン Lv19
職業 ウェアウルフ
STR 450
ATK 450
DEF 220
VIT 400
AGI 680
DEX 400
INT 150
装備 布の服
―となる
いちいち表示を見るのはめんどくさいからせんが装備『布の服』はいただけんな
はぁ
「アイテムポケット。コスチュームチェンジ。最適化」
妾のアイテムポケットから出した服に着替える
冒険に適した服装を選んでくれる
妾の服装は真っ赤なローブに白のパンツズボン。ブーツ
手にはミスリルの杖か
ま、無難じゃな
魔法使いの冒険者というとこじゃな
後は紫水晶のイヤリングと赤竜石の指輪か。魔力Upと炎魔法Upの効果がある
髪留めに…は特にはステータスUp効果はないのう
まぁ外観をなんとかしてくれたんじゃろな
「ホレ、闇の衣を貸してやる。最適化と言えば良い」
シノンにハンカチサイズに縮小させた闇の衣を投げて渡す
「や…闇の衣…って」
「うむ。妾の愛用の逸品じゃが色がなくてのう。妾はお洒落もしたいんじゃ。だからこっちはお主が使えば良い」
「あ…いや。そのような…」
妾が良いと言うのに
「はぁ。所持者シノン。闇の衣最適化」
妾は闇の衣のハンカチを取りシノンに押し付けて譲渡した
「わわわっ」
闇の衣が開きシノンに合った服装を構築した
首までぴったりした黒のアンダーシャツに白のジャケット
灰色のホットパンツに膝上までの黒のレギンス
靴は爪先に鉄をあしらった風ブーツに黒の革手袋
やっぱり色が無いのう
どうしたものか…?何かないか?
そういえばアレがあるな
――――ごそごそ
これじゃないし…ええぃ妾は何故もっと整理していれなかったんじゃ
―ごそごそ
!
「あったぁ。七曜の腕輪。魔蝶の首飾り」
七曜の腕輪は武器に火水風土雷光闇の属性をつける事ができるこれまた伝説級のアイテムじゃ。
属性色の七色の宝玉がまた綺麗なんじゃ
これはキャンプには持っていった方が良いぞ
火もつけれるし水だってだせるからな
で、魔蝶の首飾りはつけた対象のINTを書き換えるものじゃ
シノン Lv19
職業 ウェアウルフ
STR 450
ATK 450
DEF 9999
VIT 9999
AGI 680
DEX 400
INT 9999
装備
闇の衣
七曜の腕輪
魔蝶の首飾り
うむ。魔王ができてしもうた
ま、道中安全でよいじゃろうからいいか
魔力はあっても魔法自体は使えんが見映えの為じゃしええよな
「ニーナ様!シノン!準備できましたよ…ってどうしたのシノン…その格好」
やっと準備が終わったか…待ちくたびれたぞ
「魔王…」
―バチッ
シノンは女の子じゃ。でこピンで黙らせる
「いったぁーい!何するんですか!?まお…」
踞るシノンにもう一度でこピンをする
―バチッ
「いたぁ!」
「シノン、ニーナ様。ニーナ様」
ドミニクが横に座ってシノンに小声で伝えている
「ニーナ様は外にいる間はニーナ・エヴァーグリーンって名前なんだよ」
「聞いてないですよ!何で教えてくれなかったんですか!知らないのにでこピンとか酷いですよ!」
「悪かったの。だから次から妾の事はニーナと呼べ。良いな」
「わかりましたよ」
臍をまげてしまいおったか
「では、ドミニク。シノンよ。出発しようぞ」
「わかりました」
「…はい」
―――――――
妾は忘れていた。自分がバルビア城の規則を作ったのに
妾たちは入り口で門番に止められてしまった
「出国するなら役所に出してくれないと困るよ」
妾達は引き返して円陣を組む
「そうじゃったのぅ。困ったのぅ」
「最初からこれですか…先が思いやられるなぁ」
「しかし書類が残ると面倒な事になるからな…」
「…ニルーナ様なら飛び越えればいいんじゃ…」
ドミニクがボソッと呟いた
なんじゃその名前は…
しかしそれもそうじゃな。書類も戻るつもりがあるから出しておこうだけの物じゃからな
知られずに出て知られずに入れば良いな
よし
「二人ともあの壁を越えて街を出るぞ」
「まぁ、そうですよね」
妾達は街の外壁に向かい眺める
まぁ外壁と言っても3メートル程の小さいものじゃ
「では妾は先に行く」
軽くジャンプして外壁を乗り越えると草原が見えた
ここはもう街の外じゃ
しかし、魔族の土地だからといって侮るなかれ
街を出たら辺り一面荒野とか骨が落ちている等と言うことはない
綺麗な草原よ
妾達が向う西側には国境の街に繋がる街道が少し離れた所にある森の側面にそっている
テラーポイントがあったが今は封鎖されて安全なものになっている
いても熊とか鹿とかの野性動物くらいじゃったわ
「に、ニーナ様!そこ退いてください」
うおっと!
シノンが外壁を越えてきおったが妾の飛んだ場所をそのままきおったので妾に向かって落ちてくる
「うわっ」
「きゃあ」
二人で草原に転がったので怪我がないのはいいが…
完全に妾の胸に顔を突っ込み片手で乳房を揉んでいる
「シノンよ…妾は同性愛には抵抗があるのじゃ。すまぬが離れてたもれ」
「わ…私だってそういうことは男の人の方が…」
「えっ?うわぁぁぁぁぁぁぁ!」
我らは何事かと確認しようとする前に逃げた
直感がそうするほうがいいと教えてくれたからじゃ
シノンも同じようじゃった
なかなかの反射神経じゃ
――――ドン!!!
距離を取ったあと振り向いた先には覇王の斧が地面に突き刺さりそれを背負っていたドミニクが逆さ磔の様になっていた
………はぁ
何故こやつは普通にできんのじゃ
覇王の斧を引っこ抜きドミニクを解放してやる
「さ…シノン行こうか。」
「…はい。ニーナ様」
「ちょっ!待ってくださいよぉ!」
妾はある程度離れた所からバルビア―魔王城―を眺めた
魔王城はバルビアの街の中央の丘に鎮座する一角だけドームになったいる基本バロック調の巨大建築だ
最初は妾が本来の姿で撃ったブレスでできた洞穴が原型だった
妾が人型化し祭り上げられたあと増築に増築を繰り返して出来た城じゃ
そこを中心に出来た街がバルビアじゃ
初めは国境も曖昧だったから人型もおった
だが人族側で宗教が発足すると共に魔族と対立。引き上げていきおった
それ以来一方的に国交は断絶し争いを続けておる
偵察、諜報はかかしておらぬがな
まぁ、そんなところに行く意味があるかと言われれば無くはない
全ての人間が対立、敵対しておる訳じゃないし友好的な者だっておる
運命の相手はそんな者かもしれんからの
「早くせい。置いていくぞ」
「ドミニクーーーー!早くーーー!」
やっと歩き出したドミニクにはっぱをかけ駆け足を強制する
やっと旅が始まるのう