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プロローグ

てくてく―



「どうやらこの廊下ならいけそうじゃな」


妾はニルバーナ・バルビア・エヴァンジェリン



魔王をやっておる



龍族からの出地で魔王ニルバーナと言えば知らない者は居らぬ程の有名人じゃ



種族としてはアルティメットドラゴンという世界最古のドラゴンだ



巷では妾の特徴ある赤髪と種族による『アルティメットスカーレット』というあだ名があるそうじゃが…



妾は自慢の琥珀色の角をアピールしたい


控えめな長さに光が当たるときの美しさ



何故皆スカーレットとばかり呼ぶのか…残念じゃ



「姫様~」


ん?



遠くから妾を呼ぶ声が聞こえる



むぅ…



もうバレてしもうたか…

騒ぎが大きくなる前に逃げないと



たったったった―ボキッ



「うわっと!」


…走りにくいのう


おめかしさせられるのは構わんが…こうもう少し走りやすくはならんかの?



お気に入りの真紅のドレスだから破らんが、このやたら高いヒールは動きづらくて堪らぬ。というか壊れてしもうた



これは捨ててもいいな

あとティアラももういいじゃろ



廊下にある銅像にでもくれてやればよい


銅像の両手にハイヒール、兜の上にティアラをおいておく



アイテムポケットの魔法で亜空間にでも放り込んで置いてもいいが整理もめんどくさい


さて逃げるか



「ニルバーナ姫様~」



見つかるとうるさい奴が来そうじゃ




「誰がうるさい奴ですか!」




「うおぅ!なんじゃ!驚かすでない」



ちっ!もう来ておったか


声は遠くから聞こえておったのに



「逃げると思って小声で叫んでたんですよ」



器用な奴じゃな



「そんなことはどうでもいいんです!何故お見合いの相手が壁にめり込んでるんですか!魔貴族の重鎮の御子息ですよ!」




そう言ってため息をつくマーテル



こやつは堕天使族で妾の専属メイド



元々は天使族なのに必ず墮天フォールダウンするけったいな種族じゃ



ブラウンとグレイの二色の髪をして三対六枚の翼を持つ天使の顔をした悪魔じゃ


妾のメイド兼お目付け役で何度泣かされそうになったことか


「聞いているんですか!?」



うひゃっ!



「だって…あやつ…いろんな女に手をだしとるんじゃぞ。だいたい見合いの席に女奴隷10人も連れてくるか?」



「…正確にはメタルノイドの男性の方がおられましたよ。もちろん壁にめり込んでましたけど…完全に壁役ですね。無意味でしたけど」



はぁとため息をつく


メタルノイドは全身が金属でもちろん内臓もカチンコチンだ


種族としては弱い


弱いが硬い。彼らより優れた金属でなければ傷つけることすらできん。人族では倒せん魔族の一種だ



「だいたい何魔王が純情気取ってるんですか!女の魔王ならビッチでいいんですよ。とっかえひっかえでいいんです。さっさと子供でも産んでください」



なっ!



「マーテルこそフォールダウンしてるが天使族じゃろうが!純潔を護ってこその天使族じゃろ!」



「そんなもの犬の餌にでもくれてやりましたよ!」


息も絶え絶えに喋るマーテル



疲れたからかまたため息をしておる

あまりため息ばかりつくと幸せが逃げてしまうぞ



「それだからスカーレットの二つ名が消えないんですよ!血塗れスカーレット!」

「だいたい姫様がすぐに手を出すからそんな壁役まで出てくるようになったんじゃないですか。」



いかん。マーテルの奴いらいらしてぷるぷるしておる



「どうするんですか。これで665回目ですよ。記念すべき次回の被害者はだれでしょうね!」




「マーテルよ…やはり妾は自分の目で探したい。」



「そう言って選んでくるのはろくでもない輩ばかりでしょう」


「すまぬが…邪魔はさせぬ」



妾はマーテルの肩を掴むと亜空間に放り込む



ふぅ…これでよしっと


次なる追っ手が来る前に城下町へ



いや…その前に服をなんとかしないと



「マーテルのメイド服よ出ろ。コスチュームチェンジ」

コスチュームチェンジは字の通り服装を変えるだけじゃ



メイド服に着替えドレスをしまう



「む…胸がはち切れそうじゃ。バルビアを出るまでは城下町で服を見繕うか。しかし城をでるのは久しぶりじゃな。この際人族の国まで足を伸ばしてみるか」



待っておれ。未だ見ぬ伴侶よ

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