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ちっさいおじさんと3日間  作者: 早川 りな
2日目 今日は土曜日
7/16

またっりな時間

 夕ご飯が食べ終わる頃には、おじさんは酔っ払っていた。ブルーのハンドタオルの上で大の字になって寝ている。やっぱりこんなおじさん花見でよく見かけるな、と思った。おじさんをソファに運んで、オレンジ色のハンドタオルを掛けてあげた。

 おじさん専用の敷布団と掛け布団ができてしまった。もう、住人になるんじゃないかな……。

 食器やフライパンを洗い、リビングへ戻る。熟睡しているおじさんの横に座り、ボリュームを絞ってテレビをぼんやり見ていた。

 ここまで馴染まれると存在自体が気にならなくなってきた。あれかな、一緒に食事したからかな。同じ釜の飯を喰うって、言葉もあるしね。うん? ちょっと違うか。

 テレビを見たり、おじさんを眺めてたりしているうちに、時間は21時近くになっていた。お風呂に入るため、テレビを消す。おじさんの肌蹴ているハンドタオルを掛けなおして、バスルームに向かった。



 お風呂から出て、おじさんの様子を見に行くと、やっぱり熟睡だった。お風呂に入る前に掛けなおしてあげたハンドタオルはまた肌蹴ている。

 しょうがないな、と思いながら、またハンドタオルを掛けなおしてあげた。おじさんは口を大きく開けて寝ている。もし、人間と同じサイズだったらすごいイビキだったんじゃないかな、と思った。

 おじさんが起きてたら一緒に冷たい麦茶でも飲もうかと思ってたけど、今日は無理だね。お酒のおかげで明日までぐっすりだろうね。お酒を飲んでなくたって、すぐに眠れるおじさんだしね。

「おやすみ」

 スマートフォンを持って、リビングのライトを消して、寝室のドアを開けた。

 ベッドに座り、スマートフォンを操作する。メールも着信もなし。こういう日が2か月に1回ぐらいあったりする。私への着信もメールも大体が仕事関係のもの。たまにあるこんな日は凄く寂しく感じるときが多い。今日は1日、誰にも必要とされなかった、と思ってしまう。でも、今日はちっさいおじさんのおかげでそんなことを思わずに済んだ。

 リビングと寝室を繋ぐドアに目線を向けて、心の中で「ありがとう」、と言った。

 そろそろ寝ようと思い、スマートフォンの画面に表示されている時間は【23:00】だった。

 まだ日付が変わってないよ。こんな時間帯に休めるのは何日ぶりだろう。

 サイドテーブルにスマートフォンを置き、ライトを消した。


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