表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

みーちゃんのお人形さん

子供も大人も息抜き童話番外編です。

お馴染みの人達が登場します。


「あれ、どこに置いたのかしら?」

 ママがぶつぶつ言いながら、テーブルやイスの下を見たり、物をどかしたりしています。みーちゃんはママが何をしてるのだろう、と思いました。

「ママ? どうしたの?」

「みみ、ママのネックレス知らない?」

「どんなの?」

「ママがいつもつけてる、星のネックレス」

「あのキラキラした星のネックレス?」

「そう。パパからもらった大事なネックレスがないの」

「みーちゃん、知らない」

「そう」

 ママがとても悲しそうな顔をして答えました。みみちゃんも一緒に悲しくなりました。そしてみーちゃんはあることを思い付きます。

「ママ、みーちゃんも探す!」

「ありがとう。なら、みみにも手伝ってもらおうかしら」

「うん!」

「じゃあ、みみはリビングを探してくれる。ママはパパとママのお部屋探してくるね」

「うん! わかった」



 ママはそう言って、パパとママのお部屋に行きました。みーちゃんは両手をグーにして気合をいれました。

「よーし! 探すぞー!絶対に見つけて、ママを笑顔にするんだもん」

 みーちゃんは星のネックレスに話しかけるように探し始めました。

「星さん、どこですか? 出てきてくださ~い」

 ソファのクッションをどかしたり、ティッシュの箱をどかしたりして、みーちゃんが頑張って探しても見つかりません。

「ないなあ~。どこに行っちゃったんですか?星さ~ん。ママが探してますよ」

 みーちゃんはごろんと床におなかをつけて横になり、ソファの下をのぞきました。

「星さん。いませんか?」

 みーちゃんは小さい手を一生懸命伸ばして、星のネックレスがないか探します。すると、みーちゃんは何かをつかみました。

「うう? 何だろう?」

 みーちゃんの手には赤い三角の積み木がありました。

「昨日、失くした積み木だ。こんな所にあったんだ」

 うれしくて、うれしくて、みーちゃんは積み木を大事にテーブルの上に置きました。そして、またソファの下に手を伸ばしました。ほかにも何かあるかもしれない、星のネックレスが見つかるかもしれないと、みーちゃんは思いました。

「う~ん。ないかな~あ。あれっ」

 みーちゃんは何かやわらかいものを見つけました。ソファから手を引っぱり出します。そのやわらかいものはとてもかわいい女の子のお人形でした。赤いフリルのスカートに同じ色のボレロを着ています。ミルクみたいな白い肌とクリクリの大きな緑色の目。それに腰まであるふわふわした栗色の髪の毛。大きさは10センチくらいのフランス人形です。

「うわ~! かわいい!」

 みーちゃんはそのお人形を抱きしめました。みーちゃんはお人形が大好きな女の子です。だからみーちゃんのお部屋にはお人形がいっぱいあります。

「あなたはこれから私のおともだちね! 名前を考えなくちゃ。」

 お人形の顔をじーっと見ながら、みーちゃんは名前を一生懸命考えます。

「う~ん、う~ん。そうだ。目がすごくきれいな緑色だからミドリちゃんね。私はみーちゃん、よろしくね」

 みーちゃんはミドリちゃんに微笑みました。

「あのね、ママがね、大事な星のネックレスをなくしちゃったの。それね、パパからもらったの。だからね、みーちゃんも一緒に探してるの。ミドリちゃんも一緒に探して」

 みーちゃんはミドリちゃんを抱きかかえながら、星のネクッレスを探しました。

「星さん。出てきて。ママもみーちゃんもミドリちゃんも星さんに会いたいよ」

 それでも星のネックレスは見つかりませんでした。


 みーちゃんはミドリちゃんを抱きしめてしょんぼりしてしまいました。ママがみーちゃんのところに来ました。

「どうしたの、みみ?」

「あのね、みーちゃんね、星のネックレスね、見つけたかったの。でもね、見つからないの」

 ママはみーちゃんの頭をやさしくなでながら話しかけました。

「そう、ありがとう。一生懸命探してくれたのね。ママも一生懸命探したけど見つからなかった」

「ママも?」

「うん。でも大丈夫。必ず見つかるから」

「どうして?」

「すごく大事なものは必ず見つかるのよ。ママね、昔、すごく大事にしていた指輪を失くしちゃったの。探しても、探しても見つからなかったの。でもね、見つかったのよ。それがこの指輪」

 ママはみーちゃんに、右手の人差し指にある白い石の指輪を見せてくれました。その白い石はミドリちゃんの肌と同じくらい白くてきれいでした。

「この指輪が見つかる前にね、ママ、すごくやさしいおじさんに会ったのよ」

「おじさん?」

「そう。今でも大事な思い出よ」

「どんなおじさん?」

「ないしょ」

 ママはふんわりと笑って、みーちゃんの頭をまた撫でました。

「みみ、おなか空かない? お昼にしようか」

「うん」

 ママはキッチンへ行き、みーちゃんのお昼ごはんの準備をしています。みーちゃんはソファでミドリちゃんと話していました。

「ママが会ったおじさんって、どんな人だろうね。ミドリちゃん、笑ってる?」

 みーちゃんはミドリちゃんが笑ってるように見えるのです。それにミドリちゃんの体がとてもあったかいのです。

 不思議に思ってると、ママがみーちゃんを呼びました。

「みみ、お昼食べよう」

「はーい」

「お人形はソファに置いておきなさい。それから手を洗ってくるのよ」

「はーい」

 みーちゃんはソファにミドリちゃんを座らせて、おやつを食べるために手を洗いにいきました。

 ママはみーちゃんを子ども用のイスに座らせました。

「はい。みみの大好きなホットケーキよ」

「わーい!! ホットケーキだ」

「さあ、食べましょう。いただきます」

「いただきます」

 ママが食べやすいように切ってくれたホットケーキを、おなかいっぱいに食べました。

「ごちそうさまでした」

 みーちゃんはママと一緒にごちそうさまをすると、とても眠くなってしまいました。

「みみ、お昼寝しようか?」

 みーちゃんは目をこすりながらコクンとうなずきました。みーちゃんはミドリちゃんを抱っこして、お部屋にいきました。ママがみーちゃんにお布団をかけます。

「ママ、おやすみなさい」

「おやすみ」

 ふかふかのお布団に包まって、ミドリちゃんと一緒にみーちゃんはお昼寝をしました。



「みみ、そろそろ起きなさい」

 ママの声でみーちゃんは目が覚めました。ママはみーちゃんの頭を撫でてからお部屋を出て行きました。

「あれ?」

 みーちゃんは自分が何かをにぎりしめてることに気が付きました。右手をグーからパーにしてみました。みーちゃんの手には、ママの星のネックレスがあります。

「見つけた! ミドリちゃん、見て。星さん、見つけたよ」

 でも、みーちゃんのお布団の中にはミドリちゃんがいません。みーちゃんはママのネックレスをにぎりしめたまま、ミドリちゃんを探しました。

「ミドリちゃん、ミドリちゃん、ミドリちゃん」

 みーちゃんはミドリちゃんを見つけることはできませんでした。


 みーちゃんはキッチンにいるママに星のネックレスを渡しに行きました。

「みーちゃんが見つけてくれたの? ありがとう」

 ママはそう言って、みーちゃんを抱きしめました。そして、みーちゃんから離れるとみーちゃんの顔をママはのぞきこみました。

「どうかした?」

「あのね、ミドリちゃんがいないの?」

「ミドリちゃん?」

「うん。お昼にね、ママのネックレスを探してるときにね、ソファの下で見つけたお人形さん。みーちゃんのおともだちなの。一緒にお昼寝してたのにね、起きたらいなかったの。でもね、みーちゃん、ママのネックレスをもってたの」

「えっ、そう……。もしかしたら、ママのネックレス見つけてくれたの、ミドリちゃんかもね」

「ミドリちゃんが? ママ、ミドリちゃんにまた会えるかな? ミドリちゃんにありがとう言ってない。ママのネックレス見つけてくれてありがとうって、言ってない。」

「会えるわ。ママ、さっき、大事なものは必ず見つかるって言ったでしょ。人も物も同じよ。大事な人も物もまた必ず会えるわ。ともだちなら、絶対に会えるよ。ママも会えたしね」

「うん」

「みみ、ネックレスにありがとう、一緒に言おうか?」

「ネックレスに?」

「うん。ミドリちゃんに届くかもしれないよ」

「うん。ありがとう言う!」

 みーちゃんはママと一緒に『ありがとう』と、ネックレスに言いました。

 それからママはみーちゃんからネックレスをもらい、つけました。ママの胸元で星はいつもよりもキラキラと光っていました。

 ミドリちゃんがいなくなったのはさびしいけど、ママが笑ってくれたのでうれしいと思うみーちゃんでした。


最後まで読んで頂き、ありがとうございました。また次の作品でお会いしましょう。


2012/9/17 早川 りな


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ