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ちっさいおじさんと3日間  作者: 早川 りな
1日目 今日は金曜日
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私の日常

初投稿です。よろしくお願いします。

 満員電車に揺られ会社に行き、後輩の失敗のフォローをし、先輩の仕事のフォローをして、上司のくだらないオヤジギャグに愛想笑いし、雑務に追われて、就業時間の17時。今日も残業。

 やっと仕事が終わって、パソコンの電源を落とす。残っている同僚に声を掛けて、フロアをでた。人が残っている所しか電気がついていないため、ビルの中は薄暗い。

 つまり、金曜日の夜に、残業する人間が少ないってことか。

 エレベーターに乗り、1のボタンと閉まるのボタンを押す。7、6、5、4と、順々に光るパネルをボーッと眺める。もうすぐ1階。

 やっぱり誰も乗ってこない。みんな、帰っちゃったんだね。


 会社を出ると視界の端には駅がある。立地条件がいいこの会社は、ものの2、3分で駅に着く。会社に人がいなくても、駅には人がたくさんいる。

 みんなそれぞれの予定を全うしてるんだな。

 人の隙間を抜いながらホームへ向かった。ちょうど来た電車にラッキーと、思いながら飛び乗る。

 席はどこも空いてなくて、人の少ない方へと進み、つり革につかまった。それが合図だったかのように、電車が動き出す。

 ガタンゴトン、ガタンゴトン……。

 電車の動く音を上手く表現している言葉だな、と思いながら、窓の外に目を向けた。

 濃紺の空が広がっている。おかげで電車の窓が鏡のような状態だった。窓に映る自分の顔を見て、心の中で溜め息をついた。

 どんだけ疲れた顔してるのよ。

 パンプスで一日中頑張った足はもうパンパン。座りたい……。でも、私の前に座ってるスーツのおじさんは全く降りる気配がない。周りの座席はどんどん入れ代わっているのに。

 結局、座れないまま電車を降り、ホームの階段を下り。それがキツイ。

 29歳、心は若くても、体力の衰えが若干気になります。



 駅からアパートまでの10分の道のりをだらだらと歩く。街灯に蛾が集っている。虫が大嫌いな私は蛾がこっちに飛んでこないことを祈った。蛾をチラチラと警戒しながら、冷蔵庫の中を思い出す。

 ほとんど空だ。コンビニに寄らないと。

 そんなことを考えて歩いてると、体に夜風が心地よく当たる。夜風が涼しく感じる7月。

 テレビやネットでは「もうすぐ夏休み」とか、「心ときめく夏がやってきた」とか、そんなフレーズが目に付く。学生には楽しい夏でも、社会人には関係ない。今日みたいな1日をただ繰り返していくだけ。

 彼氏もいないし、友達はどんどん結婚していくし、今年のお盆休みは一体どうやって過ごせばいいのだろう。疲れているせいで、考えることがネガティブな方向になってるな。こんなこと考えるのはやめよう。



 気が付けば、アパートの近くにあるコンビニがあと数歩のところまで来ていた。

 コンビニに入ると、あまりの明るさに目がチカチカする。夜空の下に7分程いた目には辛い。

 カゴを片手にウロウロする。お弁当、パン、インスタントのスープ、ヨーグルト、500mlのペットボトルお茶、缶チューハイをレジに持っていく。

 商品のバーコードを読み取る機械音がやけに響く。大学生くらいのバイトであろう店員さんは、手際良くレジ袋に商品を入れる。

 お財布から1000円札を出し、小銭を見ると会計金額とちょうどぴったり同じ。こんな些細なことでも小さな幸せを感じてしまう。

 軽くなったお財布をバックに仕舞い、不格好のレジ袋を受け取りコンビニを出る。あまりに明るいコンビニに居たせいで、外がさっきよりも暗く感じる。それでもアパートが見えた。

 早く部屋に帰って、靴を脱ぎたい。そして、お風呂に入りたい。ベッドへダイブしたい。

 2、3年前は「明日は休み! 飲みに行くんだ! オールだ!」なんて、元気なことを言っていた。あのときの私は何処へ行ったんだろう。

 一週間、働き抜いた心身には気力も体力も何も残ってません。


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