始まりは午前四時
花火大会。巽sideです。
ことの発端はやっぱり時臣だった。
早朝4時。
いつもは鳴らないこの時間に俺の携帯が鳴ったことからして、いやな予感はしていたんだ。
「……おい。なんのよ…『花火大会!』…うだってえ? 花火大会?」
すべてを言い終わらないうちに時臣が言った。
『花火大会。巽と洸と千春ちゃんとレンと………』
「あぁ~待て待て待て!! 分かったから、友達で行くんだろ?」
『そうっ!』
パァッッと表情が明るくなったのが声だけで分かる。
(……ガキか。……いや、ガキだな、うん)
何故か子供を持つ父親の心境が分かる気がしてしまった。
「重症だな……」
『えっ? 巽、病気? 千都(ちづ)呼ぼうか?」
「いや。何でもないから気にすんな…………で?」
そうして俺はいつもの通り、朝早くに起こされた苛立ちも忘れ、
時臣の話を聞くことになってしまっていた。
ちなみにさっき出てきた千春ちゃんは高月先生のことで、
千都とはやはり時臣のいとこにあたる医者のことだ。
レンは俺の弟。能力無しの普通の人間だ。今は中学でサッカーをしている。
こうして、他の奴らには悪いが、時臣の花火大会計画が始まった。
もちろん、あいつがやる気なら、俺には止められない。
つまりは、俺に拒否権がないということだ。
高月先生とレンなら受け入れてくれるかもしれない。
そういえば……レン。友達とかの約束があったらどうしよう?
洸にまた何か言われるのかなぁと頭をかかえつつ、
新たに出てきた疑問にさらに俺の頭は重くなるのだった。




