星屑（男女逆ver
星屑の男女を逆転、というか大体一人称を俺⇒私に変えただけ。
私の振り払った手で、りん、と鈴が落ちていった。
一面に屑みたいなものを撒き散らして、それは一つ一つ逞しく光っていて、咄嗟に差し出した手をすり抜けて落ちていった。息が止まった。きれいで、その瞬間鈴は生きたものではないこの世で最も清らかな物であったのだ。鈍い音が響く間、ぱちぱちと頭の中に残る余韻が感動なのか絶望なのか分からなかった。分からなかった。なんでこんなことになってるの。
ゆっくりと起き上った鈴は、痛みに耐えるように目をつぶってから、私に向けて淡い唇から掠れた声で嘯く。
「良かった、かすり傷だ」
私は耐えようもない罪の意識と込み上げる訳のわからないじゅくじゅくいらいらひやひやとした感情とがごちゃ混ぜになって、かっと目が見開き全身に力が入ってびくびく震えるのを感じた。
「っ……」
「ね、大丈夫だから……」
愕然として階段から一歩も動けなくなっている私に向かって、慈しむようなきらきらした笑顔を向けて鈴が近寄ってくる。
「ほら、全然大丈夫」
そう言ってひらりと手を広げてみせる、その仕草が堪らなくなる。ふざけんな。
「黙ってよ！」
「鈴音……？」
私は、無理矢理鈴の背中に手をやった。少しでも歩くのが楽になるように。私の腕にも収まってしまいそうなこの繊細な鈴を、罪深くも落してしまったのだ。私は光の結晶を抱く腕にきゅっと力を入れた。
「えっちょっと、何して……」
「保健室、行くから」
「大袈裟だって、俺は大丈夫」
あたふたと私から離れようとする鈴に、腹の底がじりじりと焼けてくる。
「だから、あんたはっ」
「ごめん」
鈴は弱弱しく体を小さく丸めて、淡い唇をもごもごと動かして言った。
怖かった。自分が鈴を落としたという事実が、私のどこにも引っかかることなく落ちて行った鈴が、その姿を綺麗だと思ってしまった自分が。先に謝られてしまったことが、拒絶されているようで、堪らなく怖かった。
震える身体を抑えるのに必死だった。
なに、なんで私が怯えてんの。そんな資格も無いくせに。
「ごめん」
繰り返し謝る鈴に余計罪悪感が煽られて、その口を塞ぎたくなった。
私は、クズだ。
肉食系女子っぽく。
なんだろう、この方が違和感がありません不思議。
男女逆転。美味でやるのは私には難しそうですが、変化でやるのは面白そう。
男子高校生と大人の女で……って犯罪っぽいですね。
