表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

星屑


 俺の振り払った手で、りん、と鈴が落ちていった。

 一面に屑みたいなものを撒き散らして、それは一つ一つ逞しく光っていて、咄嗟に差し出した手をすり抜けて落ちていった。息が止まった。きれいで、その瞬間鈴は生きたものではないこの世で最も清らかな物であったのだ。鈍い音が響く間、ぱちぱちと頭の中に残る余韻が感動なのか絶望なのか分からなかった。分からなかった。なんでこんなことになってんだ。

 ゆっくりと起き上った鈴は、痛みに耐えるように目をつぶってから、俺に向けて淡い唇で嘯く。

「良かった、かすり傷だよ」

 俺は耐えようもない罪の意識と込み上げる訳のわからないじゅくじゅくいらいらひやひやとした感情とがごちゃ混ぜになって、かっと目が見開き全身に力が入ってびくびく震えるのを感じた。

「っ……」

「ね、大丈夫だから……」

 愕然として階段から一歩も動けなくなっている俺に向かって、慈しむようなきらきらした笑顔を向けて鈴が近寄ってくる。

「ほら、全然大丈夫」

 そう言ってひらりと手を広げてみせる、その仕草が堪らなくなる。ふざけんな。

「黙ってろよ!」

「鈴人……?」

 俺は、無理矢理鈴の膝裏に手をやり抱き上げた。腕の中にすっぽり収まるこの小さな鈴を、罪深くも落してしまったのだ。光の結晶を抱きしめた。

「えっちょっと、何して……」

「保健室、行くから」

「大袈裟だって、大丈夫なのに」

 あたふたと俺の腕から逃げようとする鈴に、腹の底がじりじりと焼けてくる。

「だから、お前はっ」

「ごめん」

 鈴は怯えるように体を更に小さく丸めて、淡い唇をもごもごと動かして言った。

 怖かった。自分が鈴を落としたという事実が、俺のどこにも引っかかることなく落ちて行った鈴が、その姿を綺麗だと思ってしまった自分が。先に謝られてしまったことが、拒絶されているようで、堪らなく怖かった。

 震える身体を抑えるのに必死だった。

 なに、なんで俺が怯えてんの。馬鹿野郎。

「ごめん」

 繰り返し謝る鈴に余計罪悪感が煽られて、その口を塞いでやりたくなった。

 俺は、クズ野郎だ。

乙女ゲームを作ろうと思って、台詞だけあったものに地の文を付けてみました。

台詞はそのままだけど設定を色々弄ったため原型は留めてませんが。

今回は特にこだわりもなく、気を付けたことといえば初めにタイトルを「星屑」に決めていたので女の子をキラキラさせようとしたことと、一人称だから心理描写をより直接的にしたことぐらいです。


ちなみに、名前はすず鈴人すずとです。

フルネームは谷江鈴人たにえすずと。くだらない名付け理由があったはずなんですが……忘れました。


コメディって……何なんだろう。ゲシュタルト崩壊中です。

次はもっとくだらない感じのを……掲載予定。あ、いや、予定は未定ですけどね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ