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変化

 いつもの気だるそうな脱力した目をした暁が、攻撃的な顔をして歩みよる。

「あんたは俺のこと嫌いっぽいけど? つーか嫌い、だよね」

 一歩。面倒臭そうに伸びをしながら、初芽に歩みよる。やる気の無い間延びした喋りなのに、じわじわと獲物を追い詰める獣のように耳に響く。

「でもね、俺さ、あんたのその、人を軽蔑しきった目、なんか良いんだよねー」

 とん、と壁に追いやった初芽の視線に合わせて屈みこみ、上目使いで誘うように熱情の籠った視線を浴びさせた。

「っ」

 初芽は思わず息を飲んだ。どういう目で暁を見ていたか自覚はあったし隠そうともしていなかったから気付かれてるだろうとは思っていたけど、軽蔑、という言葉が使われるとは思いもしなかったし、面と向かってそんなことをど直球に言われるとも思わなかったし、なによりこうして人気がないとはいえ道端で壁に押しやられているというこの状況は何、なんでそんな目で見てくるの。そういったごちゃごちゃした吃驚が一度にきて混乱した。

「ね、おとなしそーな顔しちゃって、いーっつもギラギラした目で見つめちゃって、なんなの、誘惑してんの」

 そう言いながら、左手を壁に押し付けて、少女の顎を掴んでくいっと上げた。

「ねえ、抵抗しなくていーの。キス、しちゃうよ?」

「や、め……」

 ずいずいと暁の顔が近づいてくる。人を受け入れる準備の無い、息が跳ね返ってくるほどの場所にまで押し入ってきて、初芽は鼻の頭とか眉間とかがじんじんと痺れてくるのを感じた。いつもは煙草を咥えている唇が薄くていやらしい大人の形をしているとか、垂れ目なのに全て見透かされそうなほど鋭いとか、意識したことのないとこにまで強制的に目を向けさせられる感覚に耐えられなくて目を閉じた。

 暁はその様子をじーっと見つめたあと、煙った空に目をやり片手で頭を掻き毟った。

「ちゅーこく」

「へ?」

 ぱっと手を離してそんなことを言う暁に、初芽は気が抜けたように声を出した。

「あんた、無防備だし? こんなとこでこんなオジサンに襲われちゃって、抵抗の一つもしねーし?」

「忠告ってことで」

 暁はひひひっと笑ってカンカン音を鳴らしながら安いアパートに戻って行った。

 その後ろ姿を茫然と見送り、初芽はからからになった口の中で舌を蠢かせながら混乱しきった頭を冷やしていた。

設定したもの

大人の男と恋愛に幼い少女

テーマは変化

書きたかったのは混乱


男側から書くか少女側から書くか迷ったんですが、こうなりました。

台詞を書いてから地の文を付け足してます。描写の思いついたところから書きだして、一度書いたものを消さない為に違和感がある文になっていると思います。

反省点、はまだ客観視できないので置いておいて。

実はこの話はもう少し詳しく設定がありました。書けなかったけど。

暁はMとか。設定を生かせてません。

話の流れによっては初芽が男の子だったかもしれません。

名前の読みは、初芽はじめあきら


前回も、一応バリバリの恋愛話という意識で書いていたんですがシリアスすぎたので、今回はもっと恋愛っぽいハプニングを表面に出して書いてみました。

女の子が男に押されているシーンってなんか歯痒いですね。

初芽に反撃させたかった。

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