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学園モノ

作者: 氷室吾郎

ここは【聖アグネス高等学園】俺みたいなヤツがなんでこんな、カソリック系の学校に通う事になったかは親父が小さな教会の神父をしていたから必然としてこの街で唯一のカソリック系の高校に入学してきた。


まぁ俺なんかの身の上をダラダラと語っていても物語が進むとは思えないが、単なる前置きと物語の舞台はそう言う学校で起きた。とだけ頭の片隅にでも入れておいてくれ。


季節は四月……世間一般の学生達にとっては一大イベントである【クラス替え】が行わられている事であろう。しかし残念と言うべきか、新たに人間関係の構築に労力を使う必要が無いと言うべきか、我等が聖アグネス高等学校にはクラス替えが無い。


入学した時から卒業するその時まで、ずっと同じ顔ぶれで過ごす事になる。


「高校最後の1年もまた同じ顔ぶれで過ごす訳か……」


そう一人言を言いながら唯一変わった新しい教室のドアを開けて、それまでと同じ席に座る。


仲の良いグループ同士でワイワイと楽しそうに話しているのを所在なさげに眺めていると、1人の少女に目が留まる。

俺は前の席に座る比較的仲がよい所謂、カースト上位に位置するイケメンに声を掛けた。


 「なぁ、あの子誰?転校生か何か?」


 「はぁ?何言ってんだお前、ハロだよハロ」


それだけを言うとイケメンは前を向きスマホを触り始めた。


 「はぁ?ハロ?あのハロなのか?」


机に突っ伏して両手で頭を抱え、ガシガシと髪の毛をかきむしりながら。


 「あの綺麗な漆黒の肩口で切り揃えた髪はどこにいった……なんだあの茶髪のベリーショートの髪型は?」


 「おい!眼鏡はどうした?それよりも何だその短いスカートは!」


突っ伏しした机にブツブツと一人言を繰り返す。

高校最後の1年だからとイメチェンしただけだよな?

心境の変化か?

それとも……彼氏でも出来たのか?


上の空で気が付けば昼休み。母親の作ってくれた弁当を広げ、水筒のキャップに熱々のお茶を注ぎ、弁当を啄み(ついば)ながら目だけはハロを追っていた。


どこからか春の陽気な風に誘われて1枚の桜の花びらが教室の中に舞い込んできた。


偶然なのか桜の花びらは、俺の注いだお茶の中に静かに舞い降りお茶にユラユラと水紋を立てる。

俺は意を決したようにキャップを握ると、桜の花びらごと一気にゴクリとお茶を飲み干すと、ガタリと席を立ち楽しそうに雑談しながらお弁当を食べているハロの目の前に立っていた。


 「ハロすまない放課後少しだけ時間をくれないか?」 


突然声を掛けられたハロは口に箸を咥えたまま、小さく2度頷いた。


あまりの変わりようなハロの姿が、俺の不安をかき立て入学式のあの日、君を見つけた時に抱いた感情が制御出来なくなっていた。


そして放課後……中庭のベンチに座るハロの前に立ち。


 「待たせてしまったかな?」


 「そんな事ないよ私も今来たとこ」


 ハロの向かい側に座り疑心と嫉妬に駆られた俺は話を切り出した。


 「ハロ……お前あのさ……」 


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