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明日から、一回の更新にします。

新たに話を作ったりして、投稿してるんですが、追っ付かなくなってきました。


よろしくお願いします。


読みにくい箇所を修正しました。

 あの日から宝来さんは、僕の送り迎えをするようになった。

 駅の改札で待ち合わせて出勤し、帰りは夕ご飯を食べてマンションの前まで送ってくれる。

 僕は嬉しい気持ちが強くて、いいのかなって思いながらも一緒に過ごしていた。


 そんなある日、タイムカードを切って直ぐ、待ち構えていたように少しだけ焦った部長が僕たちを呼んだ。


 いつも泰然自若としてる部長が珍しい。緊急事態かな?

 僕と宝来さんは、足早に部長の元に向かった。


「自殺者だ。対象者は高橋春人。17歳。緊急案件で、討伐浄化も現場に向かっているはずだ。回想には待機の連絡がいっている。お前たちは現場の状況次第で行動を決めろ。前回のように、その場に止まるのはナシだ」


 そう言ってリストを僕に渡す。

 そこには高橋さんの顔写真と経歴が載っている。

 イジメによる自殺の文字が赤く点滅していた。


「確認したな?備品庫には連絡済みだ。直ぐに向かえ」

「「はい」」


 リストを部長に返し、僕たちは急いで備品庫に向かう。

 自殺はほぼと言っていいほど、悪霊化してしまう。でも、その前に説得に応じてくれれば助かる可能性があるんだ。


 僕は雨の音を思い出した。

 引き摺られないようにしなきゃ。記憶をなくしていた時だって、少し影響を受けてしまった。

 心を強く持たなきゃね。


 僕たちが備品庫に入ると、葛城さんは待っていたと言わんばかりに、服と武器を出してくれた。

 急いで着替え現場に向かう。

 こういう時思うのは、変身グッズとかあれば便利なのにってこと。

 昔のテレビ番組にあった、装着して『変身』て口にするだけで着替えられれば、その分時間の短縮になる。

 誰か開発してくれないかな。


 なんてことを考えていたんだけど、どうやら僕は口に出していたみたいだ。


「あるぞ」

「え?」

「着替え用の道具だろ?浄化討伐は配られている。確か……二、三着登録できたはずだ。緊急案件が多いから、いちいち着替えている暇がない中、割と重宝した」


 どうやらあったらしい。回収に回ってこないのは、必要ないからだろうね。

 一回やってみたかったな。『変身!』って。



 ◆



 そこは学校の屋上。人の高さほどのフェンスが周りを覆っていた。

 見渡す街並みは、朝の忙しい時間帯だからだろうか、忙しなく人や車が行き交う。

 空には綺麗な青空が広がり、ここだけ切り取れば何も変わらないいつもの日常の風景なのだろう。


 その中で、立ち入り禁止区域を示す黄色いテープが異質さを際立たせていた。

 鑑識と思しき人々が現場を歩き回り、刑事相手に事情を説明している人がいる。

 事故や事件現場とはまた違う空気が、辺りに漂っていた。

 この後、学校は大変な騒ぎになるのだろう。


 ふわりと浮き上がり、屋上から下を見下ろした。緩やかな風が僕の尻尾を揺らす。

 中庭だろうその場所には、花壇に咲く花がゆらゆらと揺れていた。

 ()()()あるはずのモノは既になく、青いビニールシートのようなものが撤去されようとしていた。


「ご遺体は移動したよ」


 背後から声をかけられて振り返る。そこには、討伐の向井さんと綾さんが立っていた。

 お互いペコリと頭を下げた。


「対象者は?」

「今、出張中かな。イジメを主導した生徒の元に向かった。浄化に迎えに行って貰っているよ」

「面倒なことになってるな。担当は誰だ?」

「深海と安西だ。今回も回収の出番はないかもな」

「そうだな。――あの二人なら、上手くやるだろう」


 深海さんは、優しい面差しでおっとりした美人さん。安西さんは、カオさんの彼氏さんでカオさんの無茶振りを軽くいなす、中々やり手な御仁だ。


「今回、美耶は外されてね。まあ、ある意味正解だったな」

「何かあったのか?」

「さあ?反省文30枚を書かされた上、謹慎だってさ。まあ、謹慎は『反省』って文字で反省文を埋め尽くしたせいらしいけど?向こうの部長がビビってたよ。あいつ怖い。どうやって指導すればいいのか分からなくなったって」


 話しを聞いてるだけで、ちょっと引く。実際目にした部長さんは、本当に怖かったんだろうな。

 でも『呪』とか『殺』とかから始まるヤバい言葉じゃないだけマシなのかな。


「ぼくに触るな!!」


 怒鳴り声と共に、黒いモヤがブワッと膨れ上がった。

 ハッとして振り向く僕の前には、宝来さん。その前には討伐の二人が守るように立ちはだかった。


「触ってないでしょ?言い掛かりだわ」


 そこに、妙にゆっくりとした口調の女性の声が聞こえた。

 黒いモヤは、その女性が振り翳した杖に吸収されていく。


「深海が美人だから、照れてんだろ」

「あら、褒めてもさっきのことは許さないからね。カオに報告します」

「本当に勘弁してくれ」


 何かあったのかな?

 気が抜けそうな会話は、深海さんと安西さんのもの。

 対象者は安西さんが嵌めているグローブから出る糸で、ぐるぐる巻きにされていた。


「ぼ、僕の邪魔をするな!」

「無理言わないで。魂を堕としてまで復讐するなんて下らないこと、させる訳ないじゃない」

「くだらない…?くだらなくなんてない…」


 さっきよりも濃いモヤが彼の体を覆う。


「おい深海、煽るな」

「ぼくが……ぼくが、どんな目にあってたか、知らないくせにっ!いつも、いつもそうだ。ぼくが、何したっていうんだ……そこにいるだけで『キモい』って言われて歩いてるだけで嘲笑う。休み時間はトレーニングだって暴力を振るわれて、教科書には落書きされて、泥棒みたいなことまでさせられて……ぼくは、ぼくは、あいつだけは許さない!あいつ、あいつだけは……」


 更に膨れ上がるモヤが、拘束する糸をブチブチと切っていく。それを補強するかのように、安西さんが力を込める。

 クソッタレと、呟く声が聞こえた。


「こういうのはね、不平不満を吐き出した方がいいのよ」

「荒療治が過ぎる!その分、闇に喰われるだろうが!」

「匙加減はしてるわよ?」

「嘘つけ。行き当たりばったりのくせしやがって。フォローするこっちの身にもなりやがれ」

「ふふっ、よろしくねー」


 楽しげな声が場違い過ぎて、僕は呆然と見つめる。


「相変わらずだな」

「行けそうか?」


 宝来さんが苦情混じりに呟き、向井さんが浄化の二人に声を掛けた。


「「当然!!」」


 息もぴったりに返事を返し「物理でね!」深海さんが杖で対象者を思いっきりぶん殴った。


 ――殴った?!


 黒いモヤが全て杖に吸い込まれ、高橋くんが飛ばされ、屋上の入り口にぶち当たった。


 い、痛そう。大丈夫かな。


「いい?これは愛のムチよ!」


 やり切った顔でそう宣言する深海さんに、きっと全員が心の中で『絶対違う!』って、突っ込んだと思う。



 少なくとも、僕は突っ込んだ。



ありがとうございました。

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