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今回の話は短いです。
纏めてしまおうかとも思ったんですが、話の内容的に別々の方がいいと思ったので、分けてみました。
よろしくお願いします。
食事を終えたあと、僕は宝来さんの家に招待された。(もちろんオムライスを食べた)
宝来さん家は1DKのマンションだ。少し古ぼけているけど、部屋の中はモデルルームのように綺麗でお洒落だった。
ガラスの戸棚にズラリと並べられたお酒の瓶と、左端の壁に寄せられるように置かれた大きなベットが一際目を引く。
僕の部屋を掃除に来てくれるって言うだけはあって、宝来さんの部屋は散り一つ落ちていない。清潔感に溢れていた。
僕は慌てて尻尾を引き寄せ抱き締めた。
「どうした?」
「……毛が落ちるかもしれないから」
「そんなこと気にすんな。別に構わない」
宝来さんがフッと瞳を和ませて笑う。
(あ、……また見たことのない顔だ)
「何か飲むか?シロは酒飲めるのか?……いや、今日は飲まない方がいいか」
座ってろと言われて、フローリングの上に置かれた毛足の長いラグの上に座る。目の前にあるガラスのテーブルには耳をペタリと倒し、心許ない表情をした自分の顔が写り込んでいた。
「落ち着かないか?」
お茶の入ったペットボトルを僕の前に起き、宝来さんが向かいに座る。
「綺麗過ぎて、汚してしまいそうで……」
僕は抱き締めたままの尻尾に顔を埋めた。毎日ブラッシングはしてるけど、どうしても毛が抜けてしまうから、嫌がる人も居るんだ。
「汚れたら掃除をすればいいだけだ。マメに掃除はするが、神経質って訳じゃない。だからそんなに萎縮するな」
優しい声音にホッとしながら頷いた。
「先に風呂に入れ。シャワーで済ませるんじゃないぞ?ちゃんと湯槽に浸かるんだ」
「じゃあ、宝来さんが先に入って下さい。僕が入ると毛が浮くから、あとにします」
「……気にするなって言っても気にするんだろうな」
苦笑混じりの声に頷いた。
「分かった。先に入って来るからのんびりしてろ」
そう言って宝来さんはリビングを出て行った。ひとり残された僕は貰ったお茶を飲んで、キョトキョトと辺りを見渡す。
あまり動き回らない方がいいよなって思いながら視線を巡らせていると、大きなベッドの上にちょこんと乗っている物に目を引かれた。
僕の記憶によれば、あれは『犬のぬいぐるみ』。
だけど、宝来さんとぬいぐるみが何だか結び付かなくて首を傾げた。
立ち上がりベッドまで歩いていく。
少し薄汚れたように見えるのは、この子の元々の色がそんな色だからなのかな。灰色っぽい色をしたぬいぐるみは、目が黒いボタンで縫い付けられていて、所々縫い直された跡があった。歪な縫跡だけど、すごく大事にされているのが分かった。
記憶の中の僕に似てるって思ったけど、僕の毛は真っ白だったし、目はフェルトで付けられていた。(取れてなくなってたけど)もっとボロボロで傷みが激しかったから、僕じゃないってのは分かっているんだけど………何だか懐かしくて僕は思わずその子を手に取って抱き締めていた。
ふわふわの毛に顔を埋め匂いを嗅いだ。
――途端、僕の意識がプツリと途絶えた。
ありがとうございました。
次話は、夜更新します。




