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忘鬼の謂れ〜鬼と戦い続けた男  作者: 吾瑠多萬
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【決戦】再生



津根鹿は思った

自分がこれまで生きてきて、何かを成し遂げたとか達成感を味わった事は無かった

己はこれまでに何の実績も無い

仕事を一生懸命にやっても、周囲の者がそうと認めるような成果は出ない

何かいつも壁があって、自分はそれ乗り越える事が出来ないでいた

妻はそんな己であったとしても愛しんでくれた

それは己にとって本当に幸いな事だった


此処に集う者は皆、何か突き抜けている

皆芯のようなものがあって、各々の目はそれを見つめている

其々違うものかも知れない

でもそれは彼らの共通点だ

実穂高にしても逸彦にしても、周囲の評価を気にしない

全くではなのかも知れないが、彼らが基準にしているのはもっと別のものだ

彼らのように生きられたら、己を誇りに思えるだろう

そしてそのように生きている者は、津根鹿がもがきながらもまだ表に現されずにいる何かを見てくれる

此処の皆は他者を下げたり侮ったりしない

我が人生を生きんとして生きている者は、他者に対してもそうなのだと知った


この向こうに行かずして戻れるだろうか

今後の人生があいも変わらずうだつが上がらず、己に納得いかないと思い悩むならば、生きながら死んでいるのと同じだ

母がそうであったように、我にその業があるならば、それをやり尽くし、突破した方が良い。それを妻子に残して生き永らえるなど御免だ


もし此処で愛する妻子と離れたまま死す事があったとしても、見えない絆は必ずや、我が思いをあの子に届けるだろう

別れの辛さがあったとしても、あの子が己の人生をそのままに始める事ができる方が、どれ程の祝福だろうか


この(うつく)しく雄々しい鳥が我が道を象徴するなら、今我はどれ程我が運命を祝福を持って迎え入れるだろう


ああ、逸彦に命を与えた神が我にも命を与えてくれたならば、我が全てを持ってそれを成し遂げよう

この何かに縛られ手を伸ばしきれぬ我を死なせ、真の己に、新しき己に生まれ変わらせよ

その暁には己が光を、命が命であらんとする祈りに役立てさせよう

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