スーパーマンになれなくて
ぼくはスーパーマンが大好き。
将来の夢は『スーパーマン』
映画のスーパーマンも大好きだし。
スーパーマンという概念も大好き。
僕のいうスーパーマンの概念というのは超絶何でもできちゃう計り知れない力を持っている人で、だから僕には怖い物なんてないさ人助けだってへっちゃらさという人。
という概念である。
多分だけど、ぼくはスーパーマンとは正反対だから憧れるんだ。
おばけは怖いし、人助けだって勇気がないから行動できない。
困ってる人に「大丈夫ですか?」って声をかけてもお節介って思われたら嫌なんだ。
そんなぼくはスーパーマンの素質はないんだろうな。
ぼくは落ち込んだ。
でも、ぼくなりに考えてみたんだ。
スーパーマンは落ちそうな飛行機を受け止めて無事に着陸させる。
ぼくにはそれはできないけれど、コンビニで前の人が財布からお金を出そうとして落としてしまったお金がぼくの足元に転がってきたら「落としましたよ」って落とした人に返せる。
出来事の大きい小さいはあるけど、スーパーマンは自分にできる人助けをしたんだと思う。
ぼくもできる範囲の人助けはできる。
もしかして、これってスーパーマンの素質あるかな?
ちょっと嬉しいな。
スーパーマンになれるかも。
でもある日、また落ち込んだ。
小学校の帰りに木に高く登って降りられない子猫がいたんだ。
ぼくは高いところが怖いんだ、だからぼくには助けられないや猫ちゃん、ごめん。
木を通りすぎ少し歩いたところで、あの猫ちゃんが可愛そうだ、そう思い木に引き返した。
ぼくは高いところが怖いし本当は木登りも下手くそだけど、なんとかなるかも。
木にたどり着いたら、上級生の男の子が木に登っているところだった。
ぼくは遠くから見ているだけだった。
木登りが得意な上級生のおかげで無事に降りられた子猫。
子猫の無事を見届けたぼくは家に帰る途中に子猫を救えなかった自分に落ち込んだ。
でもね、また自分なりにかんがえたんだ。
ぼくはスーパーマンになれなかったけれど、子猫にとったらあの木登りが上手い上級生はスーパーマンなんだ。
という事は算数の分からない所を教えてくれるお父さんもぼくにとってのスーパーマンかも!
お腹が減ったら美味しいご飯を作ってくれるお母さんもスーパーマン。
もしかして、みんな誰かのスーパーマン?
という事を思い付いたぼくは誰かのスーパーマンになりたくて毎日学校が終わったら遊びに行くのが楽しいんだ。
じめじめして外は熱いけれど、街に困っている人がいないかなって探すんだ。
いつか本物のスーパーマンになりたくて。
おしまい。