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きみだけはぜったいに孤独じゃない  作者: しじま うるめ
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炯然/マイソフォビア

・探査ログ ― 第一三〇季二月七日

 稀神サグメによる浄対穢遮断型一〇二四重結界の構築、および綿月豊姫による「マリウス1」に向けたコロナプラズマ放射から三六時間が経過したものの、グラウンドゼロである東京都二十三区の内部状況がどのような手段を用いても確認できない状態が続いているため、八雲藍が式神を構築し、自動運転による結界内探査を試みました。

 予想される超高温環境に適応するため、探査には六脚型アンドロイド探査機「緑」を用いました。これを素体とし、約一万Kまで耐えられる耐熱式、および結界膜浸潤型鍵を上書きすることで、結界を破壊することなく内部へ進入することが可能となります。なお、高濃度のプラズマと放射線により無線通信が阻害されるため、映像記録は有線ケーブルにて行われます。用意されたケーブルの全長は三百キロメートルであり、これは結界陣の直径にほぼ等しい長さです。

 以下、各地点における映像記録です。Nの値は突破した結界の数を指します。


〈N=0〉

 気温339.4K 推定線量0.5Sv/H

 神奈川県小田原市付近が結界陣の南西側の端になっています。コロナプラズマ放射の影響により、街の構築物はほとんどが全壊、あるいは半壊し、広域の火災が起こっています。国道二七一号線に沿って緑は進行します。多数の瓦礫のため、その速度は時速五キロメートルほどです。

 映像に映る結界面は淡く発光しています。その向こうにはおよそ百メートル前方にある次の結界面が透過して見えています。その先を見通すことはできません。

 結界面へ接触し、通過を予定通りに実行しました。結界膜浸潤型鍵は問題なく作用しています。


〈N=1〉

 気温343.0K 推定線量0.5Sv/H

 温度と線量の増加割合は、稀神サグメの申告による結界性能(注)から導き出された想定通りです。結界の外側との相違点はほぼありません。およそ百メートル前方に二枚目の結界面が視認でき、さらにその先の結界面も見えます。

(注)…結界一枚あたりのエネルギー遮断率、九九.一パーセント。


〈N=2〉

 気温348.8K 推定線量0.7Sv/H

 結界の外側との相違点はほぼありません。およそ百メートル前方に三枚目の結界面が視認でき、さらにその先の結界面も見えます。


〈N=3〉

 気温351.2K 推定線量0.8Sv/H

 結界の外側との相違点はほぼありません。およそ百メートル前方に四枚目の結界面が視認でき、さらにその先の結界面も見えます。


(以下、特筆すべき報告のない部分は割愛)


〈N=80〉

 気温883.6K 推定線量22.5Sv/H

 映像の中に、視認できる街の構造物がなくなりました。空間は岩と砂ばかりの、砂漠、あるいは月や火星の表面のような様相を呈しています。


〈N=188〉

 気温1,589.9K 推定線量52.7Sv/H

 緑の脚長である九十センチメートルよりも大きな物質は見あたりません。進行速度は時速十二キロメートルほどです。

 結界面の内側に沿って、高さ三十センチメートルほどの堤防状構造が形成されています。コロナプラズマ放射時の衝撃波により、吹き飛ばされた細かい土砂が結界面に引っかかったものと思われます。


〈N=205〉

 気温1,620.1K 推定線量68.0Sv/H

 強い衝撃を受け、緑がよろめきました。何かが衝突したものと思われますが、原因は不明です。


〈N=207〉

 気温1,683.7K 推定線量69.9Sv/H

 再び強い衝撃を受け、緑がよろめきました。映像には前方からの高速飛翔物と思しき閃光が捉えられました。

 緑のセルフスキャンにより、軽微の損害が確認されました。探査は継続されます。


〈N=331〉

 気温3,007.2K 推定線量107.8Sv/H

 現在位置は東京都町田市付近と推測されます。気温と線量の増加割合が上昇しました。地面に溶けた土砂による水溜まり状の集合が観察されます。緑による接触実験が急遽実施され、脚長までの深さならば渡航可能との判断が下されました。


〈N=338〉

 気温3,109.9K 推定線量111.5Sv/H

 再び強い衝撃を受け、緑がよろめきました。連続して三度の衝撃がありました。映像には何も異常は映されていません。

 緑のセルフスキャンにより、軽微の損害が確認されました。探査は継続されます。


〈N=371〉

 気温3,895.0K 推定線量162.5Sv/H

 再び強い衝撃を受け、緑がよろめきました。断続的に緑を衝撃が襲っています。映像には前方からの高速飛翔物と思しき閃光が捉えられました。

 銃弾による狙撃との見解が八意永琳によりなされました。しかし、この超高温環境で機能する銃と銃弾があるのか、また結界を越えての攻撃ができるのか、といった疑問点は解決しませんでした。


〈N=377〉

 気温4,250.4K 推定線量計測不能

 映像にノイズが混じりはじめました。また線量計が機能を停止し、放射線の計測が不可能になりました。

 緑のセルフスキャンにより、中度の損害が確認されました。探査は継続され、以降は気温のみの記録となります。


〈N=392〉

 気温4,425.3K

 標高が徐々に下がっています。地表面が爆発により溶融、蒸発し、円柱型の箱状となっている結界の底面へと接近しているためと考えられます。多重結界の最深部は、コロナプラズマと結界面以外に何も存在しないのではないか、との推論が八雲藍により出されました。


〈N=442〉

 気温4,903.7K

 再び強い衝撃を受け、緑がよろめきました。断続的に緑を衝撃が襲っています。映像には前方からの高速飛翔物と思しき閃光が捉えられました。

 緑のセルフスキャンにより、耐熱式に綻びが生じたことが判明しました。気温の上昇率を考慮すると、緑の活動限界は結界の五百枚目前後と想定されました。結界膜浸潤型鍵には異常がないため、探査は継続されます。


〈N=478〉

 気温6,335.2K

 気温の上昇率は想定を上回っています。結界底面は溶けた岩石で完全に覆われています。深さは十センチメートルほどで、ほとんど波はありません。大気が消失し、風が起こらないためと考えられます。進行速度は時速三キロメートルほどです。


〈N=481〉

 気温6,592.3K

 映像のノイズはいっそう激しくなり、ほとんどが砂嵐となっています。


〈N=483〉

 気温6,641.8K

 強い衝撃を受け、緑が転倒しました。溶けた岩石に右半身が浸かってしまったため、耐熱式に深刻な損傷が与えられたと考えられます。セルフスキャンは実行できませんでした。

 映像記録に、前方の結界を抜けて緑へと接近する何かが捉えられました。六本の脚を持つ構造物で、造形は緑に酷似しています。背には七本目のアームが取り付けられており、その先端にはマグナムと思われる拳銃が握られています。拳銃が発砲され、被弾した緑はすべての信号を断絶しました。


〈結果〉

 緑は当初の予定通り回収されませんでした。敵性アンドロイドの発砲回数よりも緑が受けた衝撃回数が多かったこと、これまで被弾したと思われる攻撃が遠距離狙撃であったことから、より結界深部に別の敵性存在が潜んでいるものと考えられます。敵性存在の正体は判明していませんが、当初の攻撃目標であったマリウス1がコロナプラズマ放射を耐え抜き、外界からの刺激に反応したものであるとの見方が優勢です。結界内部の温度は、中心部に近づくほど指数関数的に上昇していくものとみられ、東京都二十三区を含む最奥部の温度は一億Kを越えると想定されます。そのような極限環境でマリウス1が生存していると仮定して、その理由は不明です。


・探査ログ ― 第一三〇季二月八日

 六脚型アンドロイド探査機「緑」による追加の結界進入調査が行われました。結界の四八八枚目を突破した時点で敵性アンドロイドと接触、銃撃により破壊され、被弾した緑はすべての信号を断絶しました。

 同様の手段での内部調査は困難と判断され、別の調査方法を用いることが決定されました。


・探査ログ ― 第一三〇季二月九日

 より高度な自立行動を結界内部で実行できるよう、知的生命に式神をつけて進入調査をさせる計画が提案されました。聖白蓮を除く全員が賛成し、実行者には幻想郷の妖精を選定することが決定されました。六匹の妖精を選定し、「ビーグル」の部隊名を与えました。構成員はそれぞれアルファからゼータと呼称されます。アルファからゼータには、強化耐熱式と結界膜浸潤型鍵に加えて、入力された命令に反抗せずまた低い集中力でも任務を完遂できるよう、調査以外の事項へ思考制限が付与されています。また、それぞれの妖精には録音装置を埋め込み、各自の発言内容が記録されるように細工します。

 以下、内部で死亡し再出現した妖精から回収した発話ログを組み合わせ、再構築したものです。


ビーグル・アルファ(以下α)「結界の表面に着いたわ。全員いるわね? 点呼、一」

ビーグル・ベータ(以下β)「二」

ビーグル・ガンマ(以下γ)「……あ、三」

ビーグル・デルタ(以下δ)「四!」

ビーグル・イプシロン(以下ε)「五」

ビーグル・ゼータ(以下Ζ)「六!」

α「よし。じゃあさっそく入りましょう。ここからひたすら真っ直ぐに飛んでいくだけ。簡単だわ」

δ「簡単すぎて欠伸が出らぁ」

Ζ「サイッコーに地獄だぜぇ」

γ「でもやっぱり怖いわ。それにやたらと暑いし」

ε「中はもっともっと暑い、もとい熱いって話よ」

γ「えぇ、嫌だなぁ」

β「でも、それ以外にできることなんてないんでしょう? だったらさっさと前進するべきだわ」

γ「これより暑いって、そんなの妖精だって溶けて死ぬに決まってるじゃない」

α「はいはい、五月蠅い五月蠅い。リーダーは私よ。だから全員、私の指示にちゃんと従うこと。さっきからずっとそう言ってるのに」

Ζ「リーダー!」

δ「リーダー!」

α「そう、私がリーダー! さぁ行くわよ、着いてらっしゃい!」

γ「サニーは元気だなぁ」

β「そりゃあ陽光の妖精だもの。この先にあるのはほとんど太陽って話だし、あの子もテンション上がるに決まってるわ」

γ「それって、チルノは大丈夫なのかな」

β「さぁ」

ε「まぁ、ここで大丈夫なら、なんとかなるんじゃないかしら」


(以下無関係の会話ログを一部省略します。ビーグルは結界をすり抜けて突入を開始。特筆すべき問題のないまま、一三二枚目の結界膜を突破します。)


β「一三二枚目を通過したわ。まだまだ先は長いわね」

δ「あっついなぁ、もう!」

α「もう音を上げるの?」

δ「……馬鹿にすんなし!」

α「ばーかばーか。私なんてまだまだぜんぜん平気の平左だわ。この調子なら私ひとりだけでもいけたかもしれないわね」

γ「ふたりとも馬鹿でしょ。どうしてはしゃげるのよ、こんな訳の分かんない空間で」


(二十一秒間の沈黙)


Ζ「痛っ」

ε「何、いまの」

β「皆止まって! 今ピースに何かが」

α「大丈夫?」

Ζ「な、何がどうなって、あがっ!」

γ「狙われてる? サニーが私達を隠してるんじゃなかったの?」

α「今もやってるわよ! やってるけど……」

δ「ピース! しっかりしろ」

Ζ「痛い……痛いよ……」

ε「音声記録。ピース、じゃなかった。ゼータが狙撃された模様。左腕と左脇腹を吹き飛ばされたわ。ビーグル隊は瓦礫の陰に避難を完了している」

γ「ちょっとラルバ、そんなことしてる場合じゃ」

ε「私達は任務の完遂のためにここにいるのよ。状況記録も探査のうちでしょう。残念なことにね」

β「……アルファ、決断して」

α「な、何をよ」

β「もうゼータは再起不能よ。これ以上進めない。耐熱式を解除してあげて」

α「そんな」

ε「耐熱式を解除する権限、リーダーと自分にしか付与されないし」

β「こんなところに置き去りにするよりは、何倍もマシでしょう」

α「うぅ……」

Ζ「……いいよ、サニー。お前に頼るまでもない。自分でできるさ」

α「ピース、でも」

Ζ「へん、まさか地獄の方がマシだなんて場所が、この世にあるだなんてな。さっさと終わらせて戻ってこいよ」

γ「あっ」


(この時点で、Ζは自身の耐熱式を解除、死亡し結界外へ退避しました。)


β「サニーのへたれ」

α「う、五月蠅いわね。そんなこと、いきなり言われても急にできるわけないじゃない」

ε「で、どうする? 狙撃手は目指す進行方向側にいる。ベータ、探知できる?」

β「ぜーんぜん。潜んでいるとしてもかなり先ね」

δ「でも進むしかないじゃないか」

γ「私はもう嫌になってきた。ピースの後を追おうかな……」

α「駄目だよ。ピースの分まで頑張らないと」

δ「うん。あんな弱虫と同じにされるわけにはいかないな」

ε「だけどサニーの能力が通用しないんじゃあ、ひとりずつ撃たれて終わりよ」

α「仕方ない。二手に分かれて全速で飛びましょう。真っ直ぐに進むんじゃなく、ジグザグを描く要領でね」

γ「……行ける気がしない」

β「まぁでも、それより他に手段はないわよねぇ。隠れられない以上、避けるしかないんだもの」

δ「避けるのなら任せろ! 伊達に弾幕勝負で鍛えちゃいないぞ」

ε「単なるライフル狙撃なら、狙い撃ち弾と対応は同じだものね。動き続けていれば当たらない」

γ「あー、そういえばそうか」

α「分かったわね。じゃあ出発するわ。私だってこんなところ、長居はしたくないもの」

ε「了解よ、リーダー。行きましょう」


(ここよりビーグルは二手に散開し、狙撃を回避しながら進入を再開したものと思われます。しばらくの間、会話は散発的なやりとりのみであるため、重要度の低いものは割愛します。)


β「あっ! 現在結界の三三八枚目を抜けたところ、εが頭を撃たれて消失しました。こちら残りはδと私だけです」

δ「ラルバ……」


α「ルナ! 急がなきゃ駄目だって。ちんたらしてると当たっちゃうわよ」

γ「ひぃ、はぁ……。もう駄目、保たない……」


δ「スター、見ろ! 何か光ってる」

β「私のレーダーには何も……。嘘、何よあれ。うようよと」

δ「皆こっちを見てるぞ」

β「結界の三五一枚目を突破、大きな虫みたいな……あれは……」

δ「撃ってきた! やるか!?」

β「チルノ、駄目!」


γ「はぁ、はぁ、はぁ…………」


γ「……サニー。サニー、どこ?」

γ「え、嘘でしょ。はぐれた?」

γ「……行かなきゃ」


(この時点で、γ以外の妖精はすべて死亡し、結界外へ退避していました。γは無言のまま十五分ほど進入を続けたものと見られます。飛行速度や後日の本人聞取調査から推定するに、結界を四〇〇枚ほど越えたものと考えられます)


γ「……地面を、何かが埋め尽くしてる」

γ「緑、だったっけ? あれにそっくりな、機械。同じ形のやつが、幾つも幾つも」

γ「この地面だけじゃない。結界の向こうも……きっとその先も、ずっと……」

γ「痛い……熱い……」

γ「嫌だ、もう……でも、進まなきゃ」


γ「う、あ、でかいのがいる。山みたいな、機械が」

γ「駄目だ、逃げきれな」

(発話ログ終了)


〈結果〉

 発話ログ及び聞取調査により、敵性アンドロイドの数が大幅に増えていることが判明しました。また「山のよう」と表現される巨大な個体も報告されており、その性質や発生源などは判明していません。

 ビーグルにより数回の進入調査が実施されましたが、この初回調査以上の成果は挙げられていません。マリウス1の現状は依然把握されていません。



・事案報告 ― 第一三〇季二月十三日

 敵性アンドロイドが結界外部に出現しました。形態は緑に酷似していますが、原寸サイズのものから全高十五メートルほどのものまで、さまざまな相似形の個体が存在します。いずれも背面に追加のアームや火器を備えており、生命体に対して激しく攻撃を加えます。耐久力はオリジナルの緑とあまり変わらないため、無力化自体は比較的容易に可能ですが、無尽蔵に出現し続けるため総体的な対応は困難です。

 防衛ラインは衛星「トリフネ」上まで後退しました。現在対策を協議中です。

 マリウス1の現状は依然把握されていません。



・事案報告 ― 第一三〇季二月十七日

 出現数の増加は続いています。また個体性能も上昇しており、より大きく、より耐久性の高い個体が次々と出現しています。かつて幻想郷にて見られたオポチュニティ型探査車と同じく、敵性アンドロイドは進路上の植生そのものを破壊する機能を持っています。すでに結界最外部よりおよそ百五十キロメートルの範囲内から、生命の痕跡および兆候が廃絶されています。

 陸海空各自衛隊による対アンドロイド合同作戦が上奏され、内閣総理大臣代理を通して二ツ岩マミゾウが承認を下しました。しかし残存する火器弾薬量を勘案して、作戦継続期間は一ヶ月程度と想定されます。その他、アメリカ軍と国連軍による空爆作戦が認可待ち段階であるとの情報もありますが、機能する外交ルートがほとんど残存していないため、詳細は不明です。

 いずれにせよ、結界内部への攻撃が不可能である以上、敵性アンドロイドの根絶もその目処が立っていません。日本国の国土放棄を含む避難作戦の立案を、内閣総理大臣代理を通して二ツ岩マミゾウが指示しました。目下のところ、対アンドロイド合同作戦は、避難までの時間的猶予を確保することを目標に実行されます。

 マリウス1の現状は依然把握されていません。

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