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きみだけはぜったいに孤独じゃない  作者: しじま うるめ
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記録/コレオグラファー

月都防衛隊人事ファイル


レイセン/五六八七二二〇九〇九一九三四ー二九四


 第三室八槽にて製造。肉体の健康状態はほぼすべての基準値をクリアしているものの、平均を超える穢れの汚染あり。その影響は精神面にて顕著であり、不安を感じやすく臆病。とくに死に対する恐怖が大きい。訓練への態度は良好、遅刻や欠席は無いものの、精神鑑定では意欲の低下や僅かな鬱症状が見て取れた。通常の訓練に加え、定期的なカウンセリングプログラムと服薬管理の補佐を行うことにより、パフォーマンスの安定性を担保することが可能だったケースである。

 九歳時、月都防衛学校をの優秀な成績(九.二優)で卒業。学校在籍時より特筆すべき波形攪乱能力を持ち、同じ月兎であっても解読及び突破が困難な強度であった。入隊後は第九歩兵隊第一小隊に配属。三年間の従軍の後、綿月依姫の推挙により特殊強化プログラム選抜試験を受験し、合格。強化適合術を施され第一レンジャー隊所属となる。

 その後も訓練を重ね、十六歳時にはLRSスコアが七百を超える。その優秀さが評価され、十八歳時、地球潜入を主命として極秘に新編された降臨兵部隊、通称『イーグルラヴィ』の副隊長として抜擢。月地間戦争の最前線への投入に向け、最重度訓練を開始する。

 しかし事案五六八七二九ー一三の直前、『イーグルラヴィ』隊長ロウファン及び同隊員マァルとともに失踪。事案の収束及び月地間戦争の終結後、月都防衛隊本部はレイセン他二名を逃亡兵と認定。極秘部隊に所属していた経歴を鑑み、最重要逃走者に指定したうえで綿月依姫及び憲兵部隊へ逮捕を厳命するも、現在もなお逃亡中である。

 調査により、地球へと単身で向かったことが判明している。

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