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きみだけはぜったいに孤独じゃない  作者: しじま うるめ
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沈黙/ハイパラスシジア

 神様、一生のお願いです。

 どうか私を、この地獄から救い上げてください。

 どうか私を、静寂の地に連れていってください。



 この世界では、誰もが誰もを憎みきっています。

 この世界では、全てが全てに怒り狂っています。



 叫び声が虚空を裂いて、

 誰かの呪いが風となって、

 死に際の怨嗟が鎖となって、

 私に絡みつくのです。



 皆が私を憎むのです。

 皆が私を呪うのです。

 耳を塞いでも聞こえるのです。

 目を閉じても視えるのです。


(信じられない、最低なやつだ)

(汚らわしいものを見てしまった)


 どこへ逃げても駄目なのです。

 何をしても変わらないのです。


(近寄るんじゃないよ、気味が悪い)

(お前みたいなやつが、どうしてのうのうと生きているんだ)


 誰かが誰かを、憎んで、嫌って、恨んで、蔑んで。

 その心が、すべて私には視えてしまうから。

 だから私は、世界で一番の嫌われ者。


 神様、この世界は地獄です。


 私はどこへ行っても、この苦しみから逃れることができない。

 私はどこへ行っても、私を憎むひととしか出会うことができない。

 それが地獄でなければ何だというのでしょう。

 これが責苦でなければ何だというのでしょう。


 これをつらいと感じることは、間違いなのでしょうか。

 悲しいと思ってしまうのは、私が未熟だからでしょうか。

 姉の言うとおり、狂っているのは私の方なのでしょうか。



 神様、一生のお願いです。

 愛されたいとは言いません。

 せめて、もう誰の憎しみも聞かなくていい世界へ連れていってください。



 あぁ、この願いが叶うのならば。

 他の何を失っても構いません。

 だから、どうか、どうか、どうか。


――少女が小槌を振り上げる。

――世界の構造が書き換わる。

――悲痛な願望は叶えられて。

――代償は厳格に支払われる。


――暗転し。

――静寂の中。

――瞳は閉じて。




――そして少女は、新しい地獄へ墜ちた。

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