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覚醒/レーゾンテートル
漆黒。
月の丘。
死の世界。
月面走行車。
兎の巣穴の中。
一匹の兎がいた。
孤独の月兎がいた。
――まずは、生き延びたのか、あれは。
感動も驚愕もないまま。
兎はただ事実を把握した。
半永久延命カプセルの中で。
少女はただ次の命令を待った。
――想定内だ。フェイズを移行し、待機。
何年であろうとも待つ準備はある。
何十年であろうとも待つ覚悟はある。
月兎の兵とはそういうものであるから。
月兎の兵とはそうでないといけないから。
――私は、生まれた意味を果たす。必ず。
生命なき清浄な世界で汚れた少女は再び眠る。
三つ並ぶカプセルのひとつを薄い空気が満たす。
このまま何万年だろうと少女は待ち続けるだろう。
主命の下るその時を永遠にだって待ち続けるだろう。
生命世界の終焉に向けて。
清浄惑星の奪還に向けて。
時計の針が、またひとつ、進んだ。




