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きみだけはぜったいに孤独じゃない  作者: しじま うるめ
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幕切/ダイイングスワン



 どうか、耳を塞がないでほしい。

 けれど、その耳で何も聞いてはいけない。



 どうか、目を閉じないでほしい。

 けれど、その目で何も見てはいけない。



 空から降ってくるものを、そのすべてを受け止めなくていい。

 ただ、空の青を忘れないでいてほしいだけ。



 風に吹かれて散るものを、そのすべてを拾い集めなくていい。

 ただ、風の音を忘れないでいてほしいだけ。



 貴方の身体がある場所を、ちゃんと分かっていてほしいだけ。

 覚えていて。

 私はいつでもあなたの傍にいる。

 貴方を決してひとりにはしない。


 たとえ、世界が貴方の敵になるとしても。

 たとえ、私が今ここで息絶えるとしても。

 たとえ、貴方もいつか死ぬんだとしても。

 たとえ、世界のすべてが終わるとしても。



 貴方だけは絶対に孤独じゃない。

 それだけは絶対に私が許さない。



 貴方が希望に満たされているなら。

 貴方が希望に蝕まれているなら。

 それは私の声が聞こえているから。


 貴方が絶望に恋焦がれているなら。

 貴方が絶望に苛まれているなら。

 それは私の心が伝わっているから。


 貴方はきっと生きたいと願う。

 貴方はきっと死にたいと願う。

 その感情の奥の奥、細い糸を辿っていった先で。

 私は貴方に向けて、ただただ叫び続けている。



 私は貴方に「生きて」と叫んでいる。

 ただそれだけの願いに、私のすべてを籠めている。

 ただそれだけの希望で、私のすべてはできている。



 だから、さよならは言わない。

 だから、悲しまないでほしい。


 私に会いたくなったのなら、心の糸を辿ってほしい。

 私はいつでも、そこにいる。ずっと貴方を見ている。

 私は声であり、希望であり、そして感情なのだから。






 それじゃあ、終わりを始めようか。



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