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『ママ!』


『どうしたの?ティナ』


『みてみて!きれいなおはながさいてたの!』


『まあ、本当に綺麗ね。』


『ママにあげるね!』


『ありがとう。』







『ティナ〜!今日も可愛いなぁ!』


『パパ!パパもかっこいい!』


『嬉しいよ!ありがとうティナ!』


『えへへっ』







『ママこれなぁに?』


『ティナを守るためのものよ。』


『可愛い!』


『これはね、ティナが全てを知って、大人になったら外していいからね。それまでは外してはダメよ。』


『はーい!』














『ママ…?パパ…?』


『ティナ…』


『ねえ、どうしたの?家燃えてるよ…?逃げよう?』


『ごめんね、ティナ。私とパパはもう動けないの。』


『すまない、ティナ。』


『うそ、だよね…?』


『ダメなんだ、魔法も使えないし、傷も深い…。』


『や、やだ!』


『ティナ、あなたは逃げて』


『いや、一緒に行くの。』


『僕らはもうダメだ。ティナだけでも逃げてくれ。』


『いや、私もここにいる。』


『ダメ、生きて、ティナ。私たちの愛おしい娘。』


『いや、行かないで、私も一緒に…!』


『『ティナ、愛してる。』』













**


私は目が覚めると自室にいた。



「ティナ!」

「セナ、お兄様…。」

「大丈夫?ごめんね、僕が連れていかなければよかった。」

「違うわ、お兄様…。ちょっとびっくりしただけよ。それよりあの家事は…?」

「あの後すぐに消火したし人もいなかったからけが人は居ないよ。」

「そう、よかった。…お兄様、私少し疲れてしまったみたいです。なので少し一人で休みたいんですけど…」

「ああ、わかった。じゃあまた夕飯の時間に来るね。」

「ありがとう、お兄様。」



お兄様が部屋を出ると同時に部屋にいたソフィも出ていき一人になった。



「そうだったのね。」




私は過去を思い出した。いや、正確にはティナの過去を。

少しだけおかしいと思ってた。前世の記憶を思い出したのは6歳の頃。それより前に思い出せた記憶が4歳頃からしかない。



お兄様に嘘をついた、びっくりしたなんて。違う、昔私はママとパパを火事で亡くした。そのショックから記憶が無くなったみたい。



ママとパパは優秀な魔法使いだった。娘の私によく魔法を使ったところを見せてくれた。

色々な属性の魔法を。それが当たり前だと思ってたけど多分そうじゃないのだろう。



あの日、ママとパパは何者かに刺されていた。そしてその上、魔法を使えないように魔法封じの道具が付けられていたのを今思い出した。



そっと私の小指にある、見えるようになった指輪を撫でる。

これは両親がくれたもの。

私を守ってくれるお守りらしい。これは多分他の人には見えない。それならお兄様が気づくはずだもの。

私にも見えなかったのはその事を忘れていたから。



両親はこのお守りにいつも魔力を込めてくれていた。私が無事でいられるように。

私たち家族は村の外れの家に住んでいてよく私は外で遊んだ。その時に普通魔物にでも出会ってもいいはずなのに全く見かけなかったのもこの指輪のおかげなのだろう。

年齢に合わせてサイズが変化する魔法もついてるのだと思う。


この指輪が私を護ってくれた。あの火事から、両親を襲ったものから。



「ママ、パパ。私も愛しているわ…。」



目から雫が零れる。前世の記憶を思い出して、それが主だとしても私はティナ。悲しいものは悲しい。

辛い。

最後に愛してると言った両親は最後の力と指輪の加護で私をあの家から出してくれた。



そのあとの記憶はあまりない。

ただずっと燃え尽きるまで泣いていた気がする。

私の足では走っても他の住民のところまで行くのに間に合わない、それなら最後は見届けたいと思ったから。

泣いて、泣いて泣いて、気がついたら家だけが燃え尽きてて、どうしたらいいか分からなくて、その場を離れて、歩いて、気がついたら疲れて寝ていた。






そして目が覚めたら今のお父様が私の前にいた。

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