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デビュタントから2ヶ月ほど経った。

私は今王都から領地へ戻ってきていた。



あの後、王妃教育が施される事になったため前よりは忙しくなった。

けどさすがこの体。頑張ったら頑張った分だけ吸収してくれた。

だから比較的マシなのではないかと思う、多分。


頑張った分だけセナお兄様との時間が取れるしその楽しみのために頑張ってたのもあるんだけどね。




でも今は領地へ来ているのでそれはお休み。

ライアンお兄様はまだ来れないけどセナお兄様が居るのでとても楽しい。



今日は一緒に下町へ行く予定なのだ。一応お忍びのような感じでお兄様の軽い視察も兼ねてある。

いつもみたいな堅苦しいドレスではなく、着やすい町娘の服を着る。前世での服に近いので動きやすくてとてもいいな。



「ティナはその服も似合うね。」

「セナお兄様だって、とってもかっこいいです。」


さすがセナお兄様、何を着ても似合う。かっこいいのが隠せていない。



「じゃあ行こっか?」


お兄様はそう言い、私の手を握った。


「お兄様!?手…!」

「迷子防止ね?」

「…もう子供ではありませんのに。」

「それでよティナは可愛いし連れ去られる可能性があるからね、心配なんだよ。」


私の髪を優しく撫でながら微笑むセナお兄様。

す、好き〜!!セナお兄様のそういう所大好き〜!!

さすが推し…でもやっぱり手を繋ぐのは恥ずかしいけどもうこういう機会ないと思うし楽しもうかな。


「はい、行くよ。」

「うん!」



私はお兄様の手をしっかりと握り町へ出掛けた。







**






セナお兄様と手を繋いで街を歩く。

領地の町は田舎だけども賑わっていた。



「セナお兄様!私あれが食べてみたいです!」

「いいよ、一緒に食べよっか。」



出店で見かけた食べ物を強請る。家の豪華な食べ物よりもこういった食べ物の方が気楽に食べれるし、美味しければなんでもいいから好きだ。

タレのかかったお肉が入ったサンドイッチをお兄様から受け取りほおばる。

ん〜美味しい!


美味しさに頬を緩めているとお兄様が少し驚いたような顔をしていた。



「あ…はしたなかったですわね。ごめんなさい。」

「いや、それが普通だし全然いいのだけどティナが何も気にせずそういった食べ方をするとは思わなくてね。」



かぶりつくなんで前では当たり前だけど、今では淑女らしくないことをしてしまった。

お兄様が気にしてないならいいのだけど。



「気にしないで。ああ、口元についてるよ。」

「!!ど、どこですか…!」

「動かないで、取ってあげるから。」



口元汚してたなんて恥ずかしいと思ってお兄様に聞いたのだけど、お兄様は私の口元を手で拭いそれをそのまま舐めてしまった。

は、反則!!


絶対今顔が赤い、お兄様にもバレてると思う。

なんだよ、カップルかよ。



「おやおや、熱いねー!ラブラブなのを見せつけちゃってさ。」


屋台の人にまでからかわれてしまったよ!



「僕達恋人に見えるみたいだね。」



なんて、セナお兄様にまで言われてしまうからもっと顔が赤くなった。

推しにそんなこと言われて照れないやつがあるか!



「じゃ、じゃあ、その、デートの続きしましょう?」

「っ!もちろん。僕の可愛いお姫様。」



そう言ってまた手を繋ぎ直す。

ああ、嬉しいなぁ。セナお兄様とこんな風にデートもどきできるなんて。



私はもう二度と来るかも変わらないこのひと時を思う存分に楽しんだ。

沢山歩いて少し疲れてきた時お兄様に帰ろうかと言われてそれに素直に従い帰路についていた。








「セナお兄様、何か燃えてるような匂いがしませんか?」

「そうだね…街の人に何かあると困るし見に行こうか。」



そう、匂いのする方を見るとまだ火は小さいのか煙はあまり見えなかった。

けどすぐに大きくなるかもしれない。



私とお兄様は少し急ぎ足で向かった。

セナお兄様はお祖父様のように全属性持ちではない。けれどそれでも基本の五属性で普通に使え、お祖父様と同じ水と氷と風が得意だから消火活動に役に立つだろう。




早歩きで少し行くと火の元が見えてきた。





少し町外れにあるひっそりと気に囲まれたところで小さな小屋が燃えていた。









赤く、熱く。









ドクンッと胸が鳴る








赤い…?









「ティナ…?」






セナお兄様が私を伺うように呼んだ。







けれど私は目の前の光景から目を離せなかった。










赤く、燃える家




熱く、赤く、家は消えていく。









「ぃや…」


「ティナ?どうしたの?」


「いや、いやよ。」


「ティナ、大丈夫、大丈夫だからね?」




震え始めた私の手を握るお兄様。





《ティナ、あなたは逃げて》



「いや、一緒に行くの。」



《僕らはもうダメだ。ティナだけでも逃げてくれ。》




「いや、私もここにいる。」




《ダメ、生きて、ティナ。私たちの愛おしい娘。》




「いや、行かないで、私も一緒に…!」




《ティナ、愛してる。》





「いやぁぁぁああああ!!」









私を置いてかないで、パパ、ママ…!












「ティナ!!」










セナお兄様の名前を呼ぶ声を最後に、私は意識を失った。

ネタバレになるんですけど期待させたら申し訳ないんですけどアレなんですよね…オチじゃないんですよ…趣味です

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